デキサメタゾンの新型コロナウイルスの対する効果が確認され、
厚労省もついに新型コロナウイルス感染患者への使用推奨を行いました。
では、投与量はどれほどなんでしょうか?
6月16日に英国オックスフォード大学が
新型コロナウイルスに対する効果を発表してからちょうど1か月になります。
オックスフォード大学が主導しているRECOVERY(Randomised Evaluation of COVid-19 thERapY)試験の結果、ステロイド系抗炎症薬であるデキサメタゾンが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症例の死亡を減少させることが明らかになった。オックスフォード大学が6月16日、同大のウェブサイトで公開した。
引用:日経メディカル
RECOVERY試験では、
デキサメタゾンの投与量は1日1回6mg(経口または静脈内注射)を
10日間投与しています。
試験はデキサメタゾンを投与しないグループとの比較試験で実施されています。
デキサメタゾン投与量6mg/日 10日間の意味するところ。
デキサメタゾン1日6mgの投与量というのは、
最も良く使用されるステロイド剤である
プレドニン換算で40mgに該当します。
副作用のない薬はないので
決して安易なことは言うべきではありませんが、
デキサメタゾン1日6mg10日間は
副作用を恐れる用量ではありません。
日常診療でステロイドを使い慣れている医師であれば
問題なく使いこなせます。
プレドニゾロンではなくデキサメタゾンを選択する理由は、
抗炎症効果がデキサメタゾンが優れているからでしょう。
新型コロナウイルスによって
障害を受ける呼吸器へのダメージを抑えてくれることが
期待できるからだと考えます。
抗ウイルス効果は期待できないので、
患者自身の免疫力もしくは抗ウイルス薬に期待しながらの投与となります。
デキサメタゾン投与量6mg/日 10日間の副作用は?
ステロイド剤は副作用の多い薬剤です。
様々な疾患に適応を持っていますが、
可能な限り使用期間を短く、
必要最小限にとどめる努力をしています。
副作用には代表的なものとして、
易感染性・高血糖・消化管出血・骨粗鬆症
などがあげられます。
ナトリウムやカリウムなどの電解質異常を来すステロイド剤もありますが、
デキサメタゾンはほぼありません。
- 易感染性:挙げられる副作用の中で最も神経を使うのは、易感染性でしょう。新型コロナで弱っているところに緑膿菌やMRSAといった細菌感染がかぶってくると非常に危険です。ただ新型コロナに対しても最近に対しても10日間と限定した使用期間であれば易感染性の副作用もそれほど気にしなくても問題ないはずです。
- 高血糖:糖尿病患者さんでなければそれほど心配はしなくともよいですが、定期的な血糖チェックはあったほうが良いでしょう。糖尿病の方は一時的にインスリンが必要になる可能性が高いです。つまり安易に外来で処方することは困難です。
- 消化管出血:予防のための胃薬が処方されるはずです。忘れずに胃薬を内服することでリスクは最小限になります。
- 骨粗鬆症:ステロイド剤の投与が1か月以上長期にわたる場合には意識すべき副作用ですが、10日くらいなら大丈夫です。
新型コロナウイルス感染に対するデキサメタゾンの投与量と
投与期間は副作用を考慮すると非常にリーズナブルです。
重症化の可能性が見えたときには躊躇なく使用したほうが良いと思われます。
自分に糖尿病があるかどうかわからない、不安だ、という人には自宅で簡単に検査が可能なキット
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をお勧めいたします。
検査で異常を指摘されたら保険診療で追加検査が可能です。
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