新型コロナ感染の新薬候補!アカラブルチニブってどんな薬?

新型コロナウイルス肺炎
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英製薬大手アストラゼネカは同社の血液がん治療薬「アカラブルチニブ」(商品名カルクエンス)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を対象とした大規模な治験に入る。米国の医療機関がCOVID-19の重症患者にアカラブルチニブを投与したところ、初期段階の有望な結果が得られたという。

引用:Forbes

記事にもありますが、アカラブルチニブはBTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)を阻害します。BTKは主にリンパ球のB細胞の表面にあり、B細胞の増殖、成熟に関わっています。BTK阻害剤には、イブルチニブ、チラブルチニブ、エボブルチニブなどがあり、日本国内で承認販売されているのはイブルチニブのみ。国内企業ではチラブルチニブが小野薬品により開発中で、もうすでに原発性中枢神経系リンパ腫の承認を取得しており、販売開始を待っている状況です。

小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁、以下、当社)は、本日、ブルトン型チロシンキナーゼ(以下、BTK)阻害剤である「ベレキシブル®(一般名:チラブルチニブ塩酸塩)錠 80mg」(以下、ベレキシブル)について、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果で国内製造販売承認を取得しましたので、お知らせします。

引用:小野薬品工業プレスリリース

BTK阻害剤は主にはリンパ系のがんである、慢性リンパ性白血病や悪性リンパ腫に適応症を取得しており、またイブルチニブは骨髄移植に伴う移植片対宿主病(GVHD)にも米国では適応症を取得しています。今回新型コロナウイルスにBTK阻害剤が使用されるわけは、アクテムラと同様にサイトカインストームの抑制に目的があります。

サイトカインの発生源は様々な細胞であり、決してリンパ球に限った話ではありません。アクテムラが選択的に阻害するIL-6はT細胞やB細胞、線維芽細胞、単球、内皮細胞、メサンギウム細胞などの様々な細胞により産生されることが分かっていますので、B細胞を選択的に阻害するアカラブルチニブがどのような効果を有するのか?サイトカインストームのメカニズムの詳細は未だ分かっていないこともあるので、これから研究が進むものと思います。アカラブルチニブに効果があるのであれば、同種同効薬のイブルチニブやチラブルチニブも聞くかもしれませんが、イブルチニブのヤンセンファーマ、チラブルチニブの小野薬品はどうするんでしょうね?

ちなみにアカラブルチニブはB細胞を非常に強く選択的に阻害し、T細胞には影響を与えないといわれています。イブルチニブはその選択性が比較的緩やかでT細胞にも影響を与えます。そういった意味ではイブルチニブの方が新型コロナに対しては効果がありそうな気がします。

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