シクレソニドの新型コロナ肺炎への用法用量は?その根拠は?

新型コロナウイルス肺炎
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先日気管支喘息の吸入薬であるシクレソニドに新型コロナウイルス肺炎への抗ウイルス効果がある可能性をアップしました。アップした段階ではシクレソニドのみの効果には疑心暗鬼ではありましたが、試験管内の実験ではありますが抗ウイルス効果は、ロピナビル・リトナビルと同等、あるいはそれ以上のウイルス増殖防止効果が認められています。またシクレソニド以外の吸入ステロイドの抗ウイルス作用は現時点では認められていません。

シクレソニドの抗ウイルス作用については、具体的にどの成分に効果があるのかはまだ分かっていません。ただ吸入薬中に含まれるステロイドによる抗炎症作用が重症肺炎への進展防止効果があるとは考えられます。抗ウイルス効果と抗炎症効果の両者を期待するためには、投与時期は感染初期~中期が良いと考えられます。少なくとも肺炎初期には投与開始するのがが望ましいとされています。シクレソニドの気管支喘息の用法用量は一日一回一吸入です。発売当時は一日二回の吸入が大半であったため注目された薬剤です。しかしながら、新型コロナウイルスに関しては、ウイルスの増幅時間が6~8時間であることと、十分量の薬剤を投与する必要性から気管支喘息よりも頻回で高用量の投与を推奨しています。また回復後もウイルスが残っている可能性が指摘されているため、2週間程度の投与期間が必要と言われています。現時点では下記の用法用量を標準とすることが提案されている。

COVID-19陽性確定者の肺炎に対して
(1)シクレソニド200μg1日2回、1回2吸入を14日間
(2)シクレソニド200μg1日3回、1回2吸入を約9日間

用法用量は(1)を基本とし、重症例、効果不十分例に対しては(2)を検討する。また、ウイルスは肺胞上皮細胞で増殖するため、深く吸入することで効果が高まると考えられる。

引用:日本感染症学会ウェブサイト

まだまだ試験的な使用であるため、今後の情報収集が必要です。しかしながらシクレソニド自体はほぼ副作用のない非常に安全な薬剤です。実際数年間吸入を続けても問題が薬の副作用を認めた症例は私は経験がありません。これから投与例の集積からデータが積み重なってくると思います。ぜひ4月の呼吸器学会では何かしらのデータが提示されることを期待しています。

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