ベクルリーの承認が驚くほど早く決着しましたね。通常では考えられません。
抗ウイルス薬・ベクルリー点滴静注液100 mg、同点滴静注用100 mg(一般名:レムデシビル)が5月7日、重症の「SARS-CoV-2による感染症」を効能・効果として、医薬品医療機器等法第14条の3に基づき特例承認された。同日開かれた厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、承認が了承された。製造販売元のギリアド・サイエンシズは5月4日に特例承認を活用した申請を行っており、わずか3日での承認となった。感染拡大が世界的に続く一方で、経済面からは出口戦略を求める声が政府に向けられている。安倍首相が満を持して承認したベクルリーが新型コロナの治療薬第一号としてこれを後押しすることとなりそうだ。
引用:ミクスonline
ギリアド社は3日で承認を得たわけですが、裏でギリアド社の社員とPMDA・厚労省の職員がどれだけ苦労したのでしょうか?おそらくGWは休んでないでしょうね。なおかつほぼ不眠不休での作業だったのではないでしょうか?FDAが5月1日に緊急使用許可を出していますので、その許可の内容の確認するだけでもかなりの苦労があったものと想像します。確認を要するデータや文書は1000枚を優に超えます。まずは関係者の皆様にご苦労様と伝えたい。束の間ですが、ゆっくり寝てください。
さて束の間と言ったのには理由があります。これからギリアド社の社員とPMDA職員は大忙しとなります。それは、承認条件として「製造販売後一定数の症例についてのデータが集積されるまでの間は、全症例について副作用情報などの安全性・有効性を早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じる」があるからです。日々収集される安全性・有効性の情報を解析を行い、それを市場に報告する義務が課せられます。簡単に言ってますが、かなり大変。詳細は別途アップします。
今回ベクルリーが投与される患者の条件は、▽酸素飽和度(SpO2)が94%以下▽酸素吸入を要する▽体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する▽侵襲的人工呼吸器管理を要する―となっています。またベクルリーは連日の点滴投与(最長10日)となります。したがって投与可能な病院は、集中治療室を有した大病院に限られます。そのうえ全例調査を要求されているため、そういった調査に協力できる人的な余裕のある病院に限られます。
上記しましたが、全例調査は通常業務の状態の医師であってもかなりの業務負担となります。そのうえ新型コロナ感染の診療でいっぱいいっぱいになっています。どの程度の情報を収集するのか?によってはかえって医療崩壊を助長しかねません。この辺りは、PMDAにも厚労省にも専門家からのアドバイスがあったはずですので、現場の負担が減っていることを期待しています。
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