新型コロナ感染治療にアクテムラ!?その根拠は?期待のほどは?

新型コロナウイルス肺炎

中外製薬は3月19日、親会社であるスイス・ロシュが関節リウマチ治療薬・アクテムラ(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))について、新型コロナウイルス感染症による重症肺炎を対象に臨床第3相試験を開始すると発表した。米国を含むグローバル試験として、全世界で330人の患者を登録し、安全性・有効性を検討する。4月上旬にも患者登録を開始する計画だ。同剤は、中外製薬が大阪大学と共同で研究し、創成した日本発の医薬品。同社は国内での臨床試験の実施は、「検討中」としている。

引用:ミクスオンライン

アクテムラは現在関節リウマチの治療、CAR-T療法の副作用であるサイトカイン放出症候群に対するとして承認を受けています。また国内では未承認ではありますが、オプジーボやキイトルーダといった免疫チェックポイント阻害剤の副作用のコントロールに用いられることもあります。本剤はインターロイキン6(IL-6)という炎症に関連したサイトカインの受容体を遮断します。要は病態は存在しているものの、症状が出現する根元を遮断する効果があります。

本剤を新型コロナウイルス肺炎に用いるのは、抗ウイルス作用に期待しているのではなく、免疫の過剰な反応を抑えることによって臓器障害を防ぐことを第一目標としていると考えます。理想としてはアビガンで抗ウイルス効果を期待して、アクテムラを併用することで重症化を抑制するといった感じでしょうか。新型コロナウイルス肺炎は増悪するとARDSという病態に進行します。ARDS自体は様々な病態で発症しうる病態で、非常に致死率の高いし疾患です。新型コロナウイルス肺炎においてARDSを発症した時に、炎症サイトカインが大量に放出されているサイトカインストームという状態が発生している可能性を示唆した論文があります。

  • https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30628-0/fulltext

本論文では、武漢市の多施設において、新型コロナウイルス肺炎の診断を受けた150名で解析を後ろ向きに解析を行っています。本解析によって血中のフェリチンの上昇とIL-6上昇が死亡率と関連している可能性が高いと言及されており、高度炎症反応(hyperinflammation)の病態が予後不良に寄与すると考察されています。

実施される臨床試験の対象症例は重症肺炎患者です。プラセボ対照で安全性と有効性を検討するとのことです。効果に期待はしますが、まずは重症化しないための断密を遵守したいところです。仮に重症化し、臨床試験を行うか否かのお話を担当医から説明を受けても本人は重症化しているので理解できないでしょう。またプラセボ対照ですので、いつでも薬剤投与群に当たるとは限りません。やっぱり今は断密が大切ですね。

 

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