BCGの効果持続期間は?効果がない人・なくなる人っているの?

新型コロナウイルス肺炎
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結核の予防接種で使われる「BCGワクチン」。細い9本の針を刺す“ハンコ注射”といえば、思い出す人も多いだろう。このBCGワクチンが新型コロナウイルスの感染を予防するのではないかと、一部の専門家の間で話題になっている。

引用:AERAdot.

本来臨床上で信じるに足るデータを作ろうと思ったときには、前向き試験というものをする必要があります。前向き試験とは、今をはじめとして未来に向けてどうなるかを検証すること。つまり本当に信頼できるデータ化否かは、BCG接種群とBCG非接種群を今から分けて、今から接種した人と接種していない人の予後を調査しなければなりません。現実的には前向きの検証は不可能でしょう。こういったときに後ろ向きの検証がなされます。今から過去にさかのぼってBCG接種群とBCG非接種群とで予後を比較することです。現状の疫学データは国家間のデータを比較してだけであり、医療情勢であったり、それこそ医療崩壊であったり、患者さんの予後にインパクトを与える因子(バイアス)が多すぎます。日本におけるBCG接種率は報告によって若干前後しますが、2007年では98%前後です。日本の中でBCG接種群と非接種群を区別して検証を行うのは難しいでしょうね。そこを何とかしようとする研究者が沢山いるとは思いますので、期待はしていますが・・・。

先に述べたようにBCG接種率は98%前後あります。しかしながら結核患者は今現在も国内に多くいます。なぜでしょう?もちろん未接種の2%の人であっても1億2千万人の人口から考えると約240万人いますのでかなりの人数です。肺結核を発症する人口は一年で1万8千人くらいです。そのすべてがBCG接種をしたことのない人ばかりではありません。BCG接種をしていてもその免疫が低下してします人が一定数います。例えば抗がん剤治療や膠原病に対しての治療で免疫抑制剤を使用している人などは分かりやすいのですが、健常人であっても結核に対する免疫力が低下して可能性はあります。

BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。その効果について、多くの文献を総合的に評価した結果、乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の発症を52~74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防することができると報告されています(Colditz et al, 1995)。また、一度BCGワクチンを接種すれば、その効果は10~15年程度続くと考えられています。

引用:厚生労働省ホームページ

効果の期間は思った以上に短いと言えます。BCGは基本的には乳幼児期の結核の予防をメインの目的にしています。したがって成人になってから結核の免疫を確認するツベルクリン反応を行うと陰性になったという人は珍しくありません。BCGと新型コロナウイルス感染の関係を前向きに検討するのであれば感染確認時にツベルクリン反応を確認して、その後に治療を開始する。そして治療効果を評価する中でツベルクリン反応も併せて解析に加えるといったデザインの試験も行っても良いかもしれませんね。

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