新型コロナウイルス中和抗体が経口薬で世に出てこない理由は?

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英国製薬企業のGSK(グラクソ・スミスクライン)社が新たな新型コロナウイルス中和抗体の承認申請を行ったとのニュースを見ました。

抗体カクテル治療のロナリープに続き次々と新薬が世に出てきます。

ただ中和抗体は点滴投与なんですよね。

ツイッターなどSNSで見ても経口薬への期待が非常に強いことが分かります。

こんにちは。

企業勤めの内科医ヒロスケです。

今回は抗体製剤が経口で製造されない理由についてお話しします。

答えは非常に簡単です。

抗体製剤はタンパク質で形成されている薬剤です。

タンパク質ですから、消化されます。

消化酵素でアミノ酸まで分解されてしまっては、薬剤としての効果は失われてしまいます。

そもそも抗体製剤ってどうやって作るのか?ってあたりから説明しますね。

抗体薬ってどうやって作るの?

私が知りうる限り、抗体製剤が世に出て患者さんに使用されるようになった初めての薬は「リツキシマブ」です。

リツキシマブは悪性リンパ腫の治療薬として、2001年9月に販売を開始しました。

当時私は研修医。

これまでの薬剤とは全く異なった作用機序に興奮を覚えましたね。

さらにその製造方法にも度肝を抜かれました。

基本的に抗体は二つの構造から成立しています。

定常領域(Fc部位+Fab部位)と可変領域(H鎖+L鎖)です。

可変部位が異物(ウイルスや細菌など)へ接触して、接触した刺激をFc部位から免疫細胞に伝達します。

したがって、Fc部位は自己の免疫細胞につながることが出来ればOKなので、変化する必要はありません。

可変部位は異物ごとに変化する必要があります。

リツキシマブは、Fc部位はヒトの免疫グロブリンであるIgG1の定常領域に、悪性リンパ腫のCD20という表面マーカーに反応するよう設計された可変部位を組み合わせて形成されています。

この可変部位はマウスにCD20抗体を産生され、その抗体の改変部位だけを抽出して、人の定常領域に引っ付けます。

リツキシマブの登場以降多くの抗体製剤が世に出ています。

中にはマウスの抗体を利用せずに科学的に生成した完全ヒト型の抗体製剤も既に世に出ています。

経口の抗体製剤を作成するのは不可能?

ちょっと夢のようなお話になりますが、不可能ではないと思っています。

要は消化されずに血中に浸透するような製剤を作ればいいのです。

いうのは簡単ですが、実現が難しいことは理解しています。

蛋白を分解するのは、プロテアーゼです。

このプロテアーゼに負けずに小腸まで届き、そして小腸から吸収されればいいのです。

そんなことできるの?

って、思うかもしれませんが、消化酵素の特徴を考えて、薬の効き目をコントロールする薬剤は既に存在しています。

潰瘍性大腸炎やクローン病に使用される薬剤なんかは代表ですね。

参考:アサコールとペンタサ、リアルダの違いって何?薬物動態の違い?

あとは吸収されるようにナノテクノロジーを利用したらどうでしょう??

 

まぁ私が想像できている範囲なんで、世の天才は既に挑戦していると思います。

基本的に人は想像できるものは実現すると私は信じています。

新型コロナに限らず、こんな薬があればな~、ってSNSでのつぶやきにアイデアをひらめく人はいると思いますので、どんどんつぶやいてほしいと思います。

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