アサコールとペンタサ、リアルダの違いって何?薬物動態の違い?

潰瘍性大腸炎
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こんにちは。

企業勤めの内科医ヒロスケです。

潰瘍性大腸炎は、国の指定難病の一つです。

原因の不明の大腸炎であり、大腸の粘膜がただれ、ひどくなると潰瘍ができます。

主な症状は、下痢、腹痛、血便です。

増悪時には、腹痛に1日中悩まされ、それこそ1日に何度もトイレに行くことになり、QOL(駆け生活の質)に大きな影響を与えます。

かつては整腸剤とステロイドくらいしか治療薬がありませんでしたが、2010年以降新薬が登場して、患者さんのQOLがぐっと改善しました。

今回ピックアップしたのは、メサラジンです。

メサラジンの商品名は、アサコールとペンタサとリアルダがあります。

アサコール・ペンタサ・リアルダって同じ薬剤成分なのに、名前が違うのは何故?

基本的にはどの薬剤も有効成分は、メサラジン(5-ASA)です。

しかし、それぞれ剤型(錠剤、座薬、注射薬)が異なるのと、有効成分の薬物動態(薬が体内に吸収され、分布して、排泄されるまでの過程)が異なります。

アサコールの薬物動態は?

アサコールとpHに依存性して有効成分が体内に吸収される薬剤です。

体内に入ってまずさらされる胃酸はpH7未満の酸性です。

その後十二指腸、小腸と続くのですが、その間も基本的には酸性です。

大腸になって初めて、pH7以上になります。

アサコールはpHが7以上になって初めて体内に溶け出し有効成分のメサラジンを放出します。

薬剤の溶け出すタイミングをコントロールすることで、潰瘍性大腸炎の病変である大腸で集中的に作用する設計されていおり、また副作用も限定的にする目的で設計されています。

ちなみに本剤は大腸にしか薬効成分が届かないので、小腸にも病変が広がるクローン病には効きません。

ペンタサの薬物動態は?

ペンタサはアサコールが錠剤しか剤型を持たないのに対して、錠剤・注腸剤・坐剤と剤型を持ちます。

ペンタサは特殊なコーティング(エチルセルロース)を施すことによって、小腸での5-ASAの吸収・消失を防ぐことを目的とした薬剤です。

小腸での消失を防いだため、大腸にも有効成分が到達するようになりました。

ただ有効成分の半分は小腸で消失するため、アサコールの方が潰瘍性大腸炎に対しては優位である印象があります。

逆に言うと小腸にも病変を有しているクローン病にはペンタサの方が優れた薬剤です。

リアルダの薬物動態は?

リアルダはアサコールの改良版と言えるでしょう。

アサコールのようにpHに依存的に溶け出す特徴を持ち、有効成分を大腸に届けます。

また大腸に届いた後も腸液による錠剤の分解を緩やかにすることで、ゆっくりと溶け出し、ゆっくりと吸収されることで、長時間効果が期待できるように設計されています。

この設計により一日一回の内服でも効果が期待できるようになりました。

 

同じ有効成分でも、薬物動態や吸収過程を改善させることで、より効果を上げるように設計する技術を drug delivery system(DDS)技術と呼びます。

DDS技術はほかにも様々な分野に利用されています。機会を見てブログにアップしたいと思います。

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