マスク拒否の患者に対しての診療拒否はコロナ禍の今可能か?

新型コロナウイルス肺炎

千葉県船橋市は28日、市立医療センターの新型コロナウイルス感染症患者専用病棟に勤務する20~30代の女性看護師2人が感染したと発表した。このうち1人は、マスクを着けていない入院患者の看護を通じて感染した可能性がある。

引用:読売新聞

新型コロナウイルス感染入院患者がマスクを拒否し、その患者から医療従事者が感染するという信じられない事件なんですが、マスクを拒否する患者の診療を拒否することは医師や看護師は可能なんでしょうか?医療スタッフを守るためには、こういった患者に対しては強く出ることが可能でなければならないと思いますが、いかがでしょう?

1.医師法上の応召義務について

応召義務という言葉をお聞きになったことはあると思います。通常、医師は患者が診療の求めをしている時には拒否をしてはいけないと解釈されていますが、それで正しいのでしょうか?応召義務についての記載は医師法19条1項にあります。「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とあります。しかしながら、この規定は、医師が国家に対して負う義務(公法上の義務)です。医療機関が義務を負うものでも、患者に対して義務を負うものでもないのです。また、医師法19条1項違反については罰則が存在しません。つまり医師としての訓示の一種です。しかしながら正当な理由がない限りは診療拒否のによって生じた患者の損害は医師や医療機関が賠償する責任があるとしています。

2.新型コロナウイルス感染症に関する応召義務について

新型コロナウイルス感染は第2類感染症相当とされているため、感染拡大への対処や専門医がいないなどの病院の受け入れ態勢が不十分であるとこと根拠にした場合には専門病院への紹介などを前提に診療が不可能であると患者に伝えることは問題ないとされています。必ずしも診察に来た患者さん全てを診察しなければならないとは限りません。しかしながら例えば明らかに緊急対応が必要な患者であった場合には拒否することは許されない可能性はあります。紹介先の診察まで現状と大きな変化はないと考えられる場合にのみ適応されるルールでしょう。

3.マスク拒否の患者さんの診療を断ることはできる?

応召義務に応える必要のない状況の一つとして、医療機関・医師と患者の間にトラブルがあった場合があります。これは患者と医療機関との間の信頼関係が相当程度失われていることを医療機関が証明する必要があります。その場合においては、診療を拒否をすることが可能である判断さえます。ただこの信頼関係の喪失に関しては前例を見る限りクレーマー患者などの度重なる医療機関・医師に対する嫌がらせ、治療費の支払いの拒否などが該当していますので、診療の間の短期間で患者がマスクを拒否したことによって患者と医療機関・医師との信頼関係が失われている判断するのは無理があります。

結局のところマスクを拒否した患者の診療を拒否することは、医師も医療機関も規制上は無理だと考えます。患者を守るルールが大切なのは分かりますが、医療資源・人材が限られるていることが判明した以上、医療従事者を守るためのルールがあっても良いと思います。日常生活においてはマスクや感染拡大防止はマナーの一環ではありますが、一旦入院し、診療・治療を受ける限りはマナーではなく、ルールがあってほしいと思います。

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