ランジオロールを三重大附属病院で不正使用?1回の収益は?

医療関係
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三重大附属病院での不使用の薬剤を使ったとした診療報酬の不正請求が問題になっています。使われたとされた薬剤は「ランジオロール塩酸塩」とされていますが、どんな薬剤なんでしょうか?また1回の手術でどの程度の利益を上げているのでしょうか?

三重大病院(津市)は8日、医師2人が使っていない薬剤を手術中に使ったかのように虚偽のカルテを作成し、診療報酬を請求していた疑いがあると発表した。改ざんは2200件に上り、不正請求の総額は2800万円を超える見込みという。

引用:JIJI.COM

ランジオロール塩酸塩ってどんな薬?

ランジオロールは短時間作用型β1遮断薬という種類に分類されている薬剤です。投与してから、4分程度で半分以上が代謝され無効化されます。使い方としては、手術中に頻脈性(早い脈)の不整脈が生じたときに緊急的に使用される薬剤です。2013年11月には『心機能低下例における頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動)』に適応を取っていますが、今回の事件でフォーカスされているのは『周術期の頻脈性不整脈』です。手術中はその侵襲度によって、交感神経が優位になったり、カテコラミンが分泌されたりと頻脈になる場合が多くあります。ただその一瞬をうまくコントロールをすれば、大きな問題とはならないため、短時間作用型β1遮断薬という薬は便利な薬剤ではあります。またランジオロールは血圧に影響を当たることが少ないとされており、その点でも使いやすいと考えられています。

ランジオロールって高価な薬なの?

ランジオロール50mgで4730円、150mgで12999円です。手術によって使用量は異なるために一概に1回に何mgで何円使ったとは言えません。記事によると2000人で約2800万円という点から、一律に150mgを使用したことになっているのかもしれません。毎回150mgが消費されているのだとしたら、ちょっと違和感があります。気管内挿管と抜管時に頻脈を予防することを目的にするときは、挿管・抜管の数分前より0.2mg/kg/を投与します。60kgの人だと12mg x 2回(挿管・抜管)です。50mgで済む手術もありそうですよね。通常大学病院等の大病院は包括医療支払い制度(DPC)を導入しています。DPC下では一疾患の治療にかける診療費は固定されいるので、治療を追加すれば追加するほど収益が落ちます。ランジオロールも含めて薬を追加すればするほど損をするはずです。

ランジオロールの不正請求で誰が得をする?

この点が最も不思議なところです。少なくとも自宅謹慎にさせられた現場の医師は何にも特になりません。たしかに使ってない薬剤を使ったことにしたら、薬価分は丸々病院の収入になります。しかしその分が現場の医師に別途給与として支払われていない限り、何もメリットはないはずです。また教室と製薬企業との癒着を疑う声もありますが、「使ってない」=「発注しない」という関係から製薬企業には何の得にもなりません。しかも近年の製薬企業に課せられたコンプライアンス遵守の縛りは強烈ですので、とてもこんなことを製薬企業がたくらむとは思えません。だれが得をしているのかが、まったく分かりません。

事件の真相は?

単なるミスも可能性もあります。電子カルテになってから、処置のオーダーは一括で可能なセットオーダーになっています。「○○手術セット」みたいなものがあり、いつもランジオロールが入っており、本来は削除すべき薬剤を削除しておらず、いつも請求されている。後になってこの事実に気が付いた医師がまとめて電子カルテの修正をした??なんてこともあり得ますが、電子記録の修正は証拠が残るので不可能です。あまりにもずさんです。まことしやかにささやかれているのは、医局内の権力闘争の一つでは??というもの。白い巨塔みたいなのがまだあるんですかね・・・。

 

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