韓国でインフルエンザワクチンを接種した後に死亡したという事例が例年と比べて多く報告されています。韓国当局は、ワクチンとの因果関係は認められないと公式に発表していますが、実際にどうなんでしょうか？
韓国でインフルエンザ予防のワクチン接種を受けた後に死亡する事例が相次ぎ報告されている。保健当局は、予防接種と死亡の直接的な因果関係は認められないと説明し、接種を続ける方針を示している。だが、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行への懸念から予防接種への関心は例年より高く、国民の間に不安が広がっている。
引用：産経新聞
インフルワクチンと死亡事例の因果関係はどう評価する？
薬剤の安全性を評価する上で、因果関係は重要です。ただ因果関係ばかり目を奪われると、安全性を評価するうえで重要な点を見落とすことになります。基本的に、臨床試験では因果関係の有る無しに関わらず安全性情報を収集します。薬剤・ワクチンの投与後に発生した患者さんに起きた望ましくない事象を「有害事象」といいます。有害事象は、因果関係は問いません。ある一定の期間に、薬剤を投与したグループと薬剤を投与しなかったグループとを比較して、有害事象のレベルで薬剤投与したグループの方が頻度が高ければ、因果関係が示されてなくとも危険な薬剤と評価するのが基本です。
韓国のインフルエンザワクチンは危険なの？
記事によると病院が決められたワクチンの保存方法を遵守していないことを指摘していましたが、保存方法で心血管・脳血管の異常が発症するとは考えにくく、また同様にワクチンによって生じるともあまり考えにくいの正直な印象です。ただワクチンによるこれまでの死亡事例と比較するとどうなんでしょうね？韓国の保健当局はそこまで突っ込んだ考察をしないと国民からの突き上げは恐ろしいことになるんじゃないですか？まぁ、本当に因果関係があるかどうかを評価するには、有害事象のレベルで問題がないのか否か、を考える必要があるのでまだまだ時間がかかります。
日本のインフルエンザワクチンは大丈夫？
インフルエンザワクチンによる有害事象の大半は、注射部位における副反応です。注射部位の疼痛や腫脹、発赤といったところですね。重篤な副反応としては、頻度は下がりますが、アナフィラキシー反応も含まれます。稀ではあるが、重篤な事象としては、「急性散在性脳脊髄炎」「ギランバレー症候群」「痙攣」「間質性肺炎」といった事象があげられます。
韓国と日本のインフルエンザワクチンは違うの？
2017年ー2018年シーズンにインフルエンザのワクチンの供給が間に合わなくなり、一時的に輸入ワクチンを使用した時期がありましたね。ただそれ以外は、日本国内で使用するインフルエンザワクチンは国内産でまかなっています。したがって韓国産のワクチンを使用することは国内の医療機関を受診している限りあり得ません。ただ、国産のワクチンの一部は韓国に輸出されています。したがって韓国で使用されているどこのメーカのワクチンで死亡事例が出たのか？などの詳細情報は分かり次第報告します。
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