無呼吸症候群に対するCPAP療法の効果は?必要な使用時間は?

睡眠時無呼吸症候群
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閉塞性無呼吸症候群における標準治療は持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)療法です。この治療は1981年に有効性が報告され、それ以降閉塞性無呼吸症候群患者の脳心血管系疾患の発症リスクを軽減する多くの報告がなされています。しかし、そんなCPAP療法も使用しないと具体的な効果を得ることはできません。効果を得るにはどれくらいの時間使用したほうが良いのでしょう?

1.閉塞性無呼吸症候群に対するCPAP療法の効果と使用時間は?

CPAP療法の治療効果については、多くの報告がなされています。いくつかを紹介いたします。

① 日中の眠気

無呼吸症候群の症状として有名なのは、昼間の眠気です。CPAP療法における日中の眠気の改善はCPAP療法の使用時間に依存します。主観的な自分が感じる眠気を改善させるには、4時間以上の使用が必要です。またデータ上の客観的な眠気の改善のためには6時間以上が必要との報告もあります。ただ個人差がありますので、使ってみて自身のQOLが維持できる時間を理解することが大切です。

② 交通事故の回避

無呼吸症候群の患者さんは、日中の眠気を感じていなくとも、判断力や集中力が低下していることが知られています。ある調査によると健常者と比べて交通事故のリスクは1.2倍~4.9倍高くなると言われています。トラック運転手の無呼吸症候群患者さんを対象にした調査では、CPAP療法を定期的に実践出来ている患者さんは、健常人と比較しても同様のリスクであったと報告しています。

③ 高血圧

高血圧の患者さんの30~50%が閉塞性無呼吸症候群であるとする報告があります。特に数種の降圧剤を必要とする高血圧患者さんほど無呼吸症候群を有していると報告しています。こういった患者さんにCPAP療法を導入すると使用時間に比例して血圧も下がったとの報告もあります。

④ 脳心血管疾患の予防

脳心血管疾患の予防に関しては、日常の使用時間と使用頻度が要求されます。少なくとも1か月に70%以上、1回に4時間以上の使用をしていることが前提で、脳心血管疾患の予防効果があると報告されています。

2.無呼吸症候群の患者さんが必要とするCPAP療法の使用時間は?

CPAP療法は、上記脳心血管疾患の予防に記載した使用時間と同様に少なくとも1か月に70%以上、1回に4時間以上の使用を推奨しています。簡単に言っていますが、この時間をクリアできている人は、私の経験上では半分くらいです。仕事の都合で睡眠時間が不規則な方が沢山います。また眠る時間は確保できていても、疲れ果ててしまい、CPAPを装着する前に寝てしまう方もいます。家に着いて夕食をとって、お風呂に入って、ソファで寝落ちしてします人もいます。そんな方に「CPAPを着けましょう!」だけ声をかけても改善するワケがありません。だって薬を内服することだって大半の人が良く忘れるんですから。CPAP療法を毎日装着するためには、決まった時間に眠りに入ることが最もシンプルな方法です。でもシンプルなだけ難しいのも事実です。どうかご家族の方もお声掛けをしてあげてください。一人暮らしの方は、スマホのアラームを着けましょう。個人的にはCPAPの機器から声掛けが出来るような装置があれば良いのに、と思っています。テイジンさん、フクダ電子さんいかがです?

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