経口中絶薬として「ミフェプリストン」と「ミソプロストール」の承認に向けて英国製薬企業のラインファーマがPMDAに申請を行うという報道を確認しました。
人工妊娠中絶ができる経口中絶薬について、英製薬会社ラインファーマが22日、厚生労働省に承認申請した。海外では薬による中絶が一般的で、流産の処置にも使われるが、日本では認可されておらず、高額な手術を受ける以外選択肢はない。承認されれば国内初の中絶薬となる。
引用:毎日新聞
これから承認にむけて膨大な量の臨床・非臨床のデータをPMDAがレビューを行い、その後に承認を許可するか否かを決断します。
中絶手術による母体への影響の軽減する目的もありますし、
以前より問題となっていた、同薬の不適切ルートからの入手と不適切な使用の問題の解決になります。
経口避妊薬については、賛否あるとは聞いております。
私は産婦人科医でもなければ、女性でもないためとやかく言う立場ではないので、個人的な意見は控えさせていただきます。
こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
今回は「経口中絶薬承認申請」についてです。
新薬の承認申請って否認される事ってあるの?
基本的には新薬の承認申請の前に製薬企業はPMDAと面談を行い、承認申請に足りないデータが無いかどうかを確認してもらいます。
それ以外に臨床試験を行う前にも治験前相談を行うなど、承認申請に利用するつもりの治験であれば、PMDAと相談を行うことが出来ます。
そういった相談で問題がないことを確認*した上で、製薬企業は治験を開始したり、承認申請を行う具体的な行動に移ります。
*大半の場合PMDAの審査官は大丈夫とお墨付きはくれません。役人特有の独特の言い回しでほのめかしてくれます。
したがって、前準備をしっかり行って承認申請を行っている限り、承認が否認されることはありません。
中には、PMDAの指摘を無視して大変な目に合う企業もあります。
承認は何時頃?販売開始は?
一般的に承認されたら、すぐに販売されるようなイメージがありますよね。
実際には承認から販売には数か月の時間が空きます。
その理由は、正式な承認をされないと薬価が決めれないからです。
薬価算定の会議は年に4回(2月、5月、8月、11月)に開催されます。
おそらく経口中絶薬の正式な承認申請は年末ぎりか年初だと思います。
承認時期はおおよそ1年と言われていますが、近年PMDAは効率化を目指しており、1年未満で正式承認をすることも珍しくありません。
早ければ10月に承認、11月に薬価確定、12月発売開始。
なんてシナリオもあるかもしれません。
ただ抗がん剤や希少疾患の薬剤と異なり、生命の危険に直面した患者さんへの薬剤ではないとPMDAが判断すると、そこまで急がないかもしれませんね。
12月承認、2月薬価確定、3月販売開始
ってのが、もっともあり得るラインかと思います。
発売への懸念点は?
おそらく最大の懸念点は、安易な処方。
どこでも誰でも医師であれば処方できるようにはしないと思います。
産科専門医、中絶の免許を持つ医師といった限られた医師にのみ処方権があるのではないでしょうか?
そのための管理体制などを製薬企業は求められると思います。
どういった条件で承認を求めてくるのかは、承認時に初めて明らかになります。
そのあたりをラインファーマがどうクリアしていくのかは見届けたいと思います。
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