花粉症のシーズンが近づいてきました。
皆さんそろそろ準備してください。
症状が出てから治療を始めても効果は半減です。
症状が出ていないときから内服治療を始めると、シーズン中全く症状なく穏やかに過ごすことも可能です。
特に鼻炎症状がひどくなり、蓄膿症になんかなったら、咳と発熱が生じて、新型コロナの検査から受けなくてはなりません。
早め早めの受診をお勧めします。
こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
今回は「2022年の花粉症シーズンについてと舌下治療」についてです。
内服治療については昨年の記事を参考にしてください。
参考:花粉症シーズン2021。花粉飛散量と内服治療の開始時期は?
2022年の花粉の飛散量と飛散開始時期は?
2022年の花粉の飛散量は、前年比の1.5倍~3.0倍と予想されています。
飛散開始時期は、九州など暖かい地方で2月上旬、近畿、東海、関東で2月中旬、東北で2月下旬、北海道で3月以降となっています。
花粉の飛散量の根拠は?
スギやヒノキの花粉飛散量は、前年の春の花粉飛散量と前年の夏の気象条件に影響を受けます。
2021年春の花粉量はやや少なかったと報告されています。
また夏の起床時間が例年と比較し、長かったですよね(雨が少なかった)。
以上より花粉の生育の条件は良好と判断され、スギ・ヒノキの花粉飛散予想量は全国的に多くなります。
花粉の飛散開始時期の根拠は?
スギ花粉の飛散開始時期は、前年11月以降の気温に影響を受けます。
夏の間に成長したスギの雄花は休眠した後に覚醒します。
覚醒は気温に依存しますが、ポイントは11月~12月と1月以降の気温差です。
11月~12月の気温が低く、1月以降の気温が高くなることで覚醒が促されます。
現在のところ1月以降の気温は平年並みと発表されているため、飛散開始時期も例年並みと予想されています。
しかし1月下旬から気温が上がる可能性もあります。そうすると花粉の飛散開始時期は早まります。
花粉症の舌下治療の効果は?
花粉症の舌下治療とは、少量のアレルゲン(アレルギーの原因)を体内に投与し、徐々に増加することで体が反応しないように慣れさせる治療です。
かつては皮内注射で行っていた脱感作療法を舌下に投与することで行います。
治療期間は数年(3年以上が推奨)必要となります。
治療成績は?
花粉症症状をスコア化して治療効果を評価しているので、なかなかどれくらい効果があるのか分かりにくいですよね。
一般に利用されるスコアは総合鼻症状薬物スコアです。
以下の内容でポイントを換算して評価します。
シダキャアの治療成績によるとプラセボ(偽薬)群より、実薬群は平均スコアが2程度低下していました。
スコアが2下がるということは、全体的に不快な症状が半分くらいになったと想像していただければよいと思います。
副作用は?
少量ではありますが、アレルゲンを体内に投与するので、どうしてもアレルギー反応が生じる可能性は否定できません。
口の中がかゆくなるといった軽度の症状から、アナフィラキシーショックを生じた例も報告されています。
したがって1回目の治療は病院内で行い、緊急対応もできるよう平日に行うことが推奨されています。
ちなみに私も数十人の患者さんに舌下治療を提供していますが、重篤な副作用を経験したことはありません。
舌下治療をお勧めする方
まずは若年層ですね。
学生などは休みの期間に治療を開始しておくと良いと思います。
社会人になって病院に行く時間が無くなることが予想される方には特におすすめしています。
ただ時間がかかるので、大学4年生とかはあまり推奨していません。
高齢者などで定期的に投薬を受けている方に関しては、投薬でのコントロールが困難な方にはお勧めしますが、投薬でコントロールできるならそれほどメリットはないかなと思います。
あとは合併症に喘息をお持ちの方にも推奨しています。
結構見落とされがちですが、花粉症が悪化すると喘息も悪化します。
花粉症の時期は意外と神経を使っています。
毎年花粉症の時期に喘息が悪くなるって方は舌下治療は考えても良いと思います。
残念ながら今シーズンの効果は舌下治療では望めません。
来年以降のシーズンに向けて舌下治療を考慮されている方に参考になれば幸いです。
関連記事
コメント