アルコール依存症と心血管疾患は関係があります。アメリカ合衆国・University of California, San Franciscoのグループが2017年に発表しています【J Am Coll Cardiol(2017; 69: 13-24)】。
本研究によるとアルコール依存症は、健常人と比較すると心房細動で2.14倍、急性心筋梗塞が1.45倍、うっ血性心不全が2.34倍と発症リスクが上昇しています。
アルコールが心臓に影響を与えるわけは?
アルコールを摂取すると、心拍数が上昇します。心拍数が上昇数するということは心臓の仕事量が増加します。またしっかりと心臓が収縮、拡張することができないなくため、心臓そのものへの血流も低下します。心臓そのものへの血流を冠血流と言いますが、冠血流の低下は心筋梗塞や狭心症へのリスクの上昇を意味します。また心拍数の上昇により不整脈へのリスクも上昇します。不整脈は時に致死的な影響を及ぼすこともあります。
心臓に影響を与えないアルコールの量は?
実は適度なアルコールは心不全の発症を防ぐとも言われています。日本高血圧学会では、一日の程度な飲酒量を以下のように定義しています。
- 男性:1日20-30ml
- 女性:1日10-20ml
アルコール20mlで、5%のビール500mlと同程度です。日本酒では1合、焼酎100ml程度です。ただ本データは健常人の方の飲酒量をもとに設定されています。従って現状で心疾患を有する人は、もっと控えるべきです。
マラドーナ氏とアルコール依存症
マラドーナ氏はアルコール依存症の治療中でした。以前からアルコール依存症の治療と回復を繰り返しており、なかなか完全な回復には至っていませんでした。今月の上旬にも硬膜下血腫の治療を受けるために入院し、手術を受け、その後アルコール離脱症状の出現に苦しめられていたようですね。一旦アルコール依存症になると完全に回復するには相当な時間が必要となるということです。
マラドーナと言えば、「神の手」「5人抜き」と言った伝説級のプレーを残したアルゼンチンの英雄です。アルゼンチン全体が悲しみに暮れていると思います。改めてお悔やみを申し上げます。
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