G大阪ジュニアユースに、難病と戦うGKがいる。多田吾郎さん(13)は、昨年2月に判明した再生不良性貧血のために現在は療養中。有効な治療とされる骨髄移植を待つ少年は、いつかG大阪のエンブレムをつけてピッチに立つことを目標に掲げ、病と向き合っている。
引用:報知新聞
再生不良性貧血は病名に貧血とありますが、貧血だけではなく白血球や血小板も足りなくなります。軽症例から重症例まで状態の異なる患者がいます。病気の原因ですが、血液の成分の元となる造血幹細胞が減少します。この理由として、自己免疫が造血幹細胞を障害することと造血幹細胞自身がうまく成長しない質的な異常の二つが考えられています。主には自己免疫が関係していると思われていますが、その原因となる抗体と抗原は同定されていません。
治療ですが、輸血による貧血・血小板減少に対する補充と、好中球の増加因子(G-CSF)やタンパク同化ホルモン剤の投与と言った造血の回復を促す薬剤の投与、自己免疫を抑制する免疫抑制剤の投与、骨髄自体を正常な細胞に入れ替える骨髄移植があります。治療成績ですが、かつては重症例については半数が半年以内に死亡していました。しかしながら近年では病気の原因の解析とともに、再生不良性貧血の合併症のコントロールのための抗生物質、G-CSF、血小板輸血といった支持療法の発達のおかげもあり、免疫抑制療法や骨髄移植も積極的に実施可能になりました。現在では、約7割が支持療法が不要になり、9割の患者が長期生存するようになっています。とはいうものの、再発例も認めます。また他の血液疾患を発症する患者もいるため、長期の経過観察が必要になります。
再生不良性貧血の治療における骨髄移植と急性白血病における骨髄移植は若干異なります。急性白血病の骨髄移植は、移植した白血球による白血病細胞への攻撃も期待するため、移植細胞の自己への攻撃をある程度耐える必要がありますが、再生不良性貧血はガンではないので、免疫抑制剤の使い方は白血病よりコントロールしやすい印象があります。まだまだ未知の部分の多い疾患ですので、これからもっと治療成績が良くなることは期待できます。比較的若年者が発症する疾患であるため、より良い治療方法の確立が求められます。
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