水中毒の種類って?麦茶よりもスポーツ飲料の方が良い?

疾患
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毎日毎日暑い日が続きます。熱中症の注意喚起のために水分摂取が強く言われていますが、水の飲みすぎによる「水中毒」についても話題になっています。水中毒って何なんでしょうか?原因にはいくつかあります。その種類についてご説明いたします。またどんな飲料であれば問題ないのか?なども考察します。麦茶?スポーツ飲料?などなど。

1.水中毒って何?

水中毒とは、水の摂取のし過ぎで体内のナトリウムの濃度が極端に低下した状態を指します。通常血液中のナトリウムの濃度は、137~147mEq/Lと一定の濃度に保たれています。この濃度を保つために腎臓などの臓器が何時もバランスをとっています。しかし急激に水を飲むことでこの濃度のバランスが崩れることがあります。その状態を水中毒と言います。

2.水中毒の症状は?

初期は、軽い疲労感や軽い吐き気、頭痛などがメインで、水中毒と診断をつけるのは困難です。ここから嘔吐や精神異常、尿失禁、痙攣に至り、血液検査でナトリウム濃度の低下を認め、診断に至ります。ほおっておくと、こん睡、呼吸困難と悪化し、最終的には死亡してしまいます。

3.水中毒の原因は?種類は?

診察上出くわすパターンでもっとも多いのは、精神疾患の患者さんです。自閉症や統合失調症などの精神疾患に適応を持つ薬剤には、副作用として口渇感(のどの渇き)があります。この副作用により過剰に水分を摂取し、上記症状で救急外来を受診されるパターンが多い印象があります。理論的には熱中症を意識するあまり水分を取りすぎて水中毒になるというのはあり得ますが、個人的には見たことがありません。

4.水中毒になるにはどれくらいの水を飲んでるの?

一般的には一日10Lを超えるような水を飲むとリスクが上がると言われています。10Lですから相当な量ですよね。飲もうと思ってもなかなか飲めない量ですから、それほど心配しなければならない疾患ではありません。ただ腎臓の機能が低下している高齢者の方だと必要な尿量が出ずに水中毒になる可能性はあります。腎機能に異常を指定されている方は主治医と一度相談されてください。以上の無い方であれば、一日2L~3L程度の水分摂取であれば心配することはないはずです。

5.水中毒にならないためには、水よりも麦茶?スポーツ飲料?

水よりも麦茶やスポーツ飲料の方が電解質(ナトリウムやカリウムなど)が含まれており、水中毒になる可能性は下がるかもしれません。とはいうもののやはり量が問題です。麦茶にしてもスポーツ飲料にしても血液のナトリウム濃度と比較すると明らか低いのでやはり危険であることには変わりありません。スポーツ飲料に関しては、ペットボトル症候群と言って血糖値が急激に上昇する病気もあります。スポーツ飲料の大量の摂取はお勧めいたしません。

6.水中毒の治療は?

ずばり水制限です。意識障害などの合併をしている場合には点滴による補正を行います。この時急激な補正は脳に障害を来すことがあるので慎重に行う必要があります。長期の入院が必要になることもあります。

7.水中毒と熱中症の区別は?

意識障害など症状の共通点がありますが、判別はそれほどむつかしくありません。まずは体温。水中毒で高体温を示すことはマレです。また熱中症の原因は脱水症ですので、水中毒で認められるような下肢のむくみなどは認めません。

水中毒は常識の範囲内で水分摂取をしていれば特に心配するほどのことはないと考えます。普段よりのどが乾かない程度に水分をこまめに摂取していれば熱中症も水中毒も予防できますので、こまめな水分摂取を心掛けてください。

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