コロナ感染の力士が血痰を訴えても、受け入れが困難だった理由は?

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日本相撲協会は13日、大相撲の三段目力士の勝武士(しょうぶし)(本名・末武清孝さん、山梨県出身、高田川部屋)が新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため同日死去したと発表した。28歳だった。新型コロナウイルス感染で日本のプロスポーツ選手が死亡するのは初めて。厚生労働省によると、国内で20歳代の死亡者はこれまで同省に報告されていないとしている。

引用:読売新聞

若い方がお亡くなりになるニュースは本当に心が痛みます。ご両親のご心痛もいかばかりかとお察し申し上げます。もっと早くPCR検査を受けていればとの意見も多く耳にします。その点は様々な意見があることも理解している上で、私個人の考えとしては、医師が必要と考えた患者については実施できるような対応であってほしいとは思います。

今回私が気になったのは、この若い力士が発熱が出たのちに血痰まで生じておきながら救急の受け入れに時間がかかった点についてです。単純に新型コロナ感染疑いは受け入れれない病院もあるでしょう。または新型コロナ感染を受け入れている病院にも余裕がなかったかもしれません。あくまでも私個人の考えではありますが、やっぱり力士であったことが一つの理由だったのではないでしょうか?発熱+血痰となると重症肺炎を考えます。そうすると気管内挿管から人工呼吸器の装着も容易に想像できます。そうなると集中治療室(ICU)への入室が必要です。

勝武士のプロフィールを確認しました。体格は166センチ 111.2キロです。力士としては小柄かもしれませんが、一般の目ではやはり大きいですよね。ICUで使われるベッドの耐荷重は200kg~250kgくらいまでは大丈夫だったと記憶していますが、ベッドの移動などに要する医療従事者の負担は相当なものでしょう。人工呼吸器の設定にしても胸の重さを考えて設定する必要があります。本来肺は呼気時であっても完全にしぼんでしまう訳ではなく、ある程度のサイズを維持しています。その肺の中の残った空気の量を機能的残気量と言います。高度の肥満の方は胸の重さで肺がつぶれるリスクがあり、肥満であることはそれだけで全身麻酔と人工呼吸器の危険因子になります。

熟練の麻酔科医や救急医であれば瞬時にそのリスクを思い、そのうえで自分が今置かれている状況や他の患者の状況から受け入れが可能か否かを判断します。難しかったのかもしれませんね。東京は非常に多くの病院があります。選択肢が多いということは良いことですが、受け入れに二の足を踏まざるを得ない患者さんの場合は受け入れを躊躇されるリスクにもなりえます。地方だと「うち以外に受け入れ可能な病院はない!!」って判断になるので、患者であふれてない限り受け容れることになります。

力士という職業を考えると高体重が必要なことは分かります。ただ様々なリスクが含まれていることを考えて、力士の健康をもっと考えたルールを作っても良いのではないでしょうか?新型コロナウイルスにより世界が変わってきています。伝統を守ることも重要ですが、変わることを恐れるのも問題だと思います。

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