尿検査でうつ病の診断ができるか?、というテーマで島根大学のグループが研究しているのは聞いていましたが、検査キットが販売されることになりました。
検査キットで評価できるのは、あくまでも発症のリスクであり、診断ではありません。
盛岡市で医療機器などを開発するセルスペクトは11日までに、尿を調べることでうつ病などの精神疾患にかかるリスクを把握できる検査キットを開発した。ドラッグストアやインターネットで販売、結果をスマートフォンに通知する。手軽な検査を全国に広げ、早期の医療機関受診を促すのが狙いで、8月下旬にもサービスを始める。
引用:共同通信社
こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
なかなか面白そうな検査キットが販売されることになりました。
ただ、医療用検査キットではなく、薬局での直接販売なんですよね。
どういった物質を検査対象にしているのでしょうか?
うつ病の発症リスクを評価することの出来る物質とは?
検査キットが計測している物質は「バイオピリン」という物質です。
バイオピリンは、人がストレス下に置かれたときに体内で発生する活性酸素を除去するときに生じる物質です。
つまりバイオピリンが過度に増加しているという状況は、過度なストレスを感じる状況に置かれていると言い換えることが出来ます。
バイオピリンが増加してることがうつ病の発症リスクになる?
過度なストレス下にある人はうつ病のリスクがあるとは言えますが、やはりうつ病になる人とならない人がいるのは事実でしょう。
ただ活性酸素がうつ病を生じるストレス下でのみ上昇するか?
という質問に対しての答えはNOです。
肥満、高血圧、糖尿病等の疾患でも活性酸素が上昇していることも知られています。
したがってバイオピリンの情報=うつ病のリスクと言い切るのは難しいのでは?というのが私の感想です。
活性酸素の上昇を来す疾患におけるバイオピリン値とうつ病を始めとするバイオピリン値に差があればもっと臨床的な有用性が増すのではないでしょうか?
私見ですが、この辺りのデータがまだ集積できていないことが医療用の検査キットとして承認されていない原因ではないでしょうか。
もちろん医療用検査キットとしての開発をもともと考慮していないかもしれません。
島根大学のグループが本キットを使用して引き続き臨床研究を続けて頂ければ、もっと臨床上の有益なデータが出てくると期待しています。
人間ドックも最低限の検査であれば自宅での検査が可能な時代です。
コロナ禍で健診受診が出来ていない方は「おうちでドック」のご利用をお勧めいたします。
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