汗アレルギーとは、アトピー性皮膚炎の患者さんが汗をかいた結果かゆみが増す状態を指して言うこと多い疾患です。すでに、広島大学大学院の秀教授らの研究グループによって、アトピー性皮膚炎の患者が汗によってかゆみなどのアレルギー反応を起こすのは、健康な人の皮膚にも存在するカビが出すタンパク質(MGL_1304)が原因であることを突き止めています。このカビが出すタンパク質を抑えれば汗アレルギーを抑えることができます。ちなみにこのカビはほぼすべての人の皮膚に住む常在菌であり、「マラセチア」と呼ばれるカビです。
1.汗アレルギーの治療薬は?
治療については、一般的な蕁麻疹使用される抗ヒスタミン剤を中心に使用されます。効果が不十分であれば、ロイコトリエン拮抗剤、オマリズマブ、減感作療法といった治療が選択されます。カビが原因であるならば抗菌剤の効果はないのか?と思われると思いますが、内服の抗菌剤については血液が流れている範囲でないと効果がなく、皮膚の常在菌に抗菌剤の効果はありません。塗り薬を全身に塗るのも効率的ではありませんね。
2.カビ対策には有効な治療法は?
有効成分を含む石鹸やボディソープをお勧めしています。ただ、石鹸やボディーソープに関しては、少数例の使用経験のレポートはありますが、決定的なものはありません。特に抗菌剤を含む石鹸は刺激性がある場合もあり、結果アトピー性皮膚炎を悪化させてしまう場合もあります。本来は刺激性の少ない石鹸で丁寧に洗うことが基本ですね。
3.汗アレルギーの新薬は?
上述していますオマリズマブが比較的新しい薬になります。本剤はアレルギーの原因となる抗体のIgEを選択的に阻害する薬剤です。2019年末にスギ花粉症にも適応を取得しています。もともとは気管支喘息と慢性蕁麻疹に適応を持っていました薬です。アレルギーの薬としてはちょっと高価な薬です。血液内のIgEの数値によって投与量が変わりますが、最大量を必要とすると1回の投与で薬剤約9万円かかります。健康保険は使用できますので、3割負担となりますが、それでも2.7万です。あんまり気軽に使える薬ではないですよね・・・。
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