新型コロナワクチンの効果が持続しない?免疫の記憶について。

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新型コロナウイルス感染によって生成された抗体が、日がたつと無くなってしまうとのニュースがありますが、どう評価すればよいのでしょうか?

新型コロナウイルスに感染して抗体ができても、免疫が急速に減退する可能性があることが、英大学インペリアル・カレッジ・ロンドンの大規模調査で明らかになった。抗体の効果を数カ月で失う恐れがあるという。英メディアが27日伝えた。

引用:共同通信

基本的には、一度感染し、免疫を確保した対象の記憶って無くならないと理解していました。確かに血液中の抗体は検査では感知できないほど低下することはあると思いますが、免疫そのものが失われるとは考えられません。

免疫を記憶するシステムとは?

ヒトには既知の感染を記憶を担当する細胞があります。その細胞の名は、メモリーT細胞と言います。メモリーT細胞は出番がなければ、リンパ節や骨髄中に待機しています。いざ感染症が生じ、その相手が既知のものであればメモリーT細胞が、他の免疫細胞に指示を出します。したがって抗体の有無は免疫の記憶の有無ではありません。

抗体がなくとも、免疫を記憶している証拠は?

有名な論文があります。この論文は、B型肝炎ウイルスワクチンによる免疫獲得についての論文です。過去にワクチンを接種し、その後の血液検査でB型肝炎に免疫(HBS抗体陽性)を獲得した人を調査します。中には、3~5年で抗体が血液検査上無くなって(陰性化)してしまう人がいます。しかし、一旦ワクチンによって抗体を確認し、免疫を獲得した場合には、ウイルスの再侵入を許しても、侵入後に再度抗体をつくることができると確認しています(参照:New England Journal 2011:363;236-247)。このデータから基本的に一度抗体が確認できている人はワクチンの再接種は不要となっています。

免疫を記憶しているのに、抗体の有無が問題になる理由

この点が、非常に難しいです。マスコミ各社はもう少し突っ込んだ説明をしてもらいたい。上述のB型肝炎ウイルスのデータで、気になる点があります。一度血液検査上で抗体が消えると、再度抗体が産生され、治るまでの期間が数週間かかるという点です。B型肝炎は感染すると自然に治る可能性が低く、免疫を確保する価値が高い疾患です。そしてほとんどの症例が症状に乏しく感染しても気がつきません。感染しても、時間をかけて治ってしまえば良いワケです。ただ新型コロナウイルス感染では、数週間のタイムラグは命取りになるかもしれません。このタイムラグを埋めたほうが良いのか、それとも埋める必要はないのか?この辺りまで詳細な研究がなされるにはまだまだ時間が必要でしょう。

個人的な考えではありますが、インフルエンザワクチンと同様で秋口には毎年ワクチンを接種することが推奨されるようになるのではないでしょうか?一度免疫を獲得すれば、再度ワクチンを接種することでメモリーT細胞に刺激を与えることが可能です。ワクチンの効果期間が短ければ短いなりに対応していくしかないのでしょう。

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