ポリファーマシーとは?処方カスケードとは?その対策方法は?

医療関係
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ポリファーマシーをご存じでしょうか?ポリファーマシーとは、多くの種類の薬剤を常用している状態を指します。日本では6種類を超えて内服している人を指します。

原因としては、同様の症状・疾患で数か所の病院にかかり、それぞれで薬を処方してもらうことなども挙げられますが、日常臨床で我々医師が気になければならないのは、「処方カスケード」と呼ばれる状態です。

処方カスケードって何?

ある症状で病院を受診したところ、その症状に応じた薬剤Aという薬が処方されます。薬剤Aの内服を始めると症状は改善したのですが、別の症状が出てきました。この新たな症状が不快な症状であれば有害事象と言います。有害事象が薬剤Aの副作用であれば、薬剤Aを中止すれば良いのですが、状態が元に戻るのを嫌い、その有害事象に対しての薬剤Bを処方されます。また薬剤Bで有害事象が生じ、薬剤Cが処方されます。こういった繰り返しにより薬剤が増えます。

便秘薬でよく見ます。薬剤Aが下剤、薬剤Bが整腸剤、薬剤Cが下剤、・・・・。

なんかどこからの落語の様ですが、実際によく目にします。始めに薬剤Aを止めて置けばよかったのですが、次々と増える薬剤に対処が困難になり後手後手に回る状況は珍しくありません。

処方カスケードの対策は?

どこかで医師もしくは患者(または両者)が薬を減らす決心をすることです。一時的に体調は崩すことになるかもしれませんが、長い目で見ると改善に向きます。ただ、高齢者の中には理解してくれない方もいますので、難渋することもあります。

処方カスケードに陥る患者さんの特徴の一つに、思い込みの強いというのがあります。どういった思い込みというと、「便は毎日でないと便秘だ」、「睡眠時間は7時間~8時間とらないと不眠だ」と言った思い込みです。こういった思い込みが強い患者さんの薬を減らすのは非常にむつかしい。

便通というのは個人差があります。一日3回出る人もあれば、3日に1回の人もいます。8時間眠らなければいけない人もいれば、4~5時間で大丈夫な人もいます。特に睡眠時間は歳をとるにつれて短くなります。10時に寝て、朝6時まで目が覚めることなく、ぐっすり眠れる70歳代の人の方が珍しいでしょう。でも、3時~4時に目が覚めるから眠剤を欲しがる人が結構います。10時に寝て、3時に起きれば5時間寝てます。4時に起きれば6時間寝てます。これで昼間に眠くて何も行動できないのであれば、眠剤は必要かもしれませんが、問題ない人がほとんどです。こういった人に眠剤はいりません。

副作用のない薬はありません。薬は量を過ぎると毒になります。また併用薬についての研究は、製薬企業では数種の薬剤を対象に行いますが、あくまでも一つ一つです。ポリファーマシーの状況は想定していません。また厚生労働省も要求しません。ポリファーマシーに対しての意識については、医師も上げていかなければいけませんが、患者の意識も重要です。

「必要のない薬は処方しない。」

「必要のない薬は内服しない。」

この意識はいつも持っておくべきでしょう。

 

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