オプジーボとは?小林麻央さんが届かなかった乳癌への適応は?

乳癌
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オプジーボとは、腫瘍が得た免疫から逃れるために能力をブロックする効果を持つ薬剤です。医療現場では免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれています。

参照:オプジーボとは?簡単に子供でも分かるように説明してみよう!

このオプジーボが世に出て、実際に患者さんが使えるようになったのが2014年9月です。当初は悪性黒色腫のみの適応でしたが、現在(2020年12月)、非小細胞肺がん・腎細胞がん・古典的ホジキンリンパ腫・頭頚部がん・胃がん・悪性胸膜中皮腫・結腸がん・直腸がん・食道がんと適応を拡大しています。その他の癌についてはどうでしょうか?

日本における死亡数が多い癌(2018年集計)は、順に男性で肺がん・胃がん・大腸がん・膵臓がん・肝臓がん、女性では大腸がん・肺がん・膵臓がん・胃がん・乳がんとなっています。脂肪の原因の順位とオプジーボの適応を比べると、まだ膵臓がん、肝臓がん、乳がんの適応が残っています。特に乳がんは比較的若い女性が罹患する癌であり、なんとか新たな治療を開発すべく多くの企業が投資し、研究に汗を流しています。

乳がんと言えば小林麻央さんを思い出します。彼女が乳がんであることを公表してから様々な治療を行ったと聞きます。実際のところは患者のプライバシーにかかわるため不明ではありますが、オプジーボも使用したのでは?と噂になりましたね。現状の乳癌に対してのオプジーボの開発状況はどうなっているのでしょうか?

乳がん対象の試験に苦戦している訳

乳がんのタイプの多さのため?

乳がんは、その特徴からいくつかのタイプに分類されます。また治療方法も細分化されています。手術後の化学療法についても術後検体の状況から細かく治療方法が決められており、実際にオプジーボがどの患者層に使用することが正しいのか?という点を決めるのに時間がかかったのではないでしょうか?

乳がんの治療成績が良いから?

乳がんは他の癌と比較すると抗ガン剤の効果が期待できるがん種です。ステージ4(全身に転移している)の状態では、タイプによって違いますが、未治療でも25%程度と言われています。実は未治療で25%という数字はがんの新薬の試験をするには大きい数字であると言わざるを得ません。治療を行って5年生存率がどの程度伸びるのか?を検証しようとするとそれだけで7~8年程度時間がかかると予想します。試験で結果を出すだけでそれだけの時間が必要となると考えると、販売開始から6年程度の現状で適応を取得するには時間が足りません。

ライバル企業は多いから?

乳がんは必要としている患者さんが多い分だけ各社様々な薬剤によって治療成績の向上を目指し、新薬を世に出そうと努力しています。つまりライバルが多いため、中途半端な治療成績では認可を受けることができません。

乳がん治療におけるオプジーボの現状

乳がんの新薬開発は簡単ではありません。上記した乳がんのタイプを絞り、病期と治療のタイミング(初発期?再発期?)を絞る必要があります。現状オプジーボが検討している対象はトリプルネガティブ乳がんと呼ばれるタイプです。治験が開始したかどうかは発表されていないので、未だ検討中というところでしょうか。

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)とは?

TNBCは乳がんのタイプの中では最も治療成績の悪いタイプです。そのため新薬開発が期待されている分野とも言えます。多くの乳がん細胞は、女性ホルモン受容体であるエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、そして上皮増殖因子の1種であるHER2受容体を持ちます。TNBCはこの3つの受容体を持っていないタイプの乳がんです。TNBCは術後の再発頻度も高く、抗がん剤の効果も限定的です。

TNBCを対象として新薬は?

オプジーボの販売元である小野薬品とブリストルマイヤーズが検討している間に、免疫チェックポイント阻害剤のライバル企業であるMSDが、2020年10月に適応追加の申請を行っています。キイトルーダはTNBC患者を対象に試験を行い、抗がん剤よる化学療法にキイトルーダを上乗せすることで、上乗せ群でPFS中央値が7.6か月、非上乗せ群のPFS中央値が5.6か月であったことから有効性を証明したとのことです。

*PFS:Progression Free Survival(治療開始後、病状の増悪を認めなかった期間)

キイトルーダもオプジーボも内容は同じですので、同じ試験をしても同じ結果が出てくるでしょう。ただそれでは使い分けのポイントがないため、承認を先行したほうが絶対的に使われます。小野薬品とブリストルマイヤーズはどう巻き返してくるのか?それともこの分野は諦めるのか?ちょっと観察していこうと思います。

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