免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボ。その薬効を説明することは、患者さんに治療方針を伝えるために必須の作業になります。患者さんによって理解度・知識レベルは様々で、相手を見ながらかみ砕くのですが、もし子供を対象にしたらどう説明するのか?ちょっと考えてみました。
腫瘍免疫って何?
オプジーボを説明する上で、腫瘍免疫の説明は避けては通れません。腫瘍免疫とは何でしょう。
腫瘍免疫とは、腫瘍(癌のこと)が体の中で生き残るために持っている能力の一つです。言い換えると、悪い奴が警察に捕まらないために変装をして一般市民に化けたような感じでしょう。
警察は悪い奴を捕まえます。しかし悪い奴にも頭のいい奴がいて、一見すると一般市民と見分けがつかない姿をしています。
しかし、もし一般市民が悪い奴ではないと証明できる名札を持っていたらどうでしょう。その名札にはバーコードがついており、どこのだれかを警察はバーコードリーダーにより読み取ることが可能だったらどうでしょう。
正常細胞は名札をもっており、その名札とバーコードをPD-L1と呼びます。そして異物を除去する担当細胞である免疫細胞は、ここでいうバーコードリーダーをもっており、そのバーコードリーダーがPD-1です。
癌細胞は免疫細胞から逃げるために、いつの間にか正常細胞の名札であるPD-L1をゲットしてしまいます。すると免疫細胞は正常細胞と勘違いして攻撃を加えません。
このシステムを発見し、証明したので本庶先生はノーベル賞を獲得しました。
オプジーボとは?どんな働きをしているの?
オプジーボは、警察(免疫細胞)のバーコードリーダーを取り上げます。バーコードリーダーを取り上げられた警察(免疫細胞)は、これまで名札でごまかしていた犯人(癌細胞)を捕まえてやっつけようとします。つまりこれまでPD-L1により免疫細胞の攻撃から逃れていた癌細胞が免疫細胞によりやっつけられるというわけです。
しかし、バーコードリーダーを取り上げられた警察は、善良な市民も間違えて捕まえてしまいます。善良な市民とは正常な臓器細胞です。免疫細胞により自分の正常な細胞が攻撃されるため、免疫関連副作用が生じます。皮膚の細胞が攻撃を受ければ皮膚炎が生じ、大腸の細胞が攻撃を受ければ下痢が生じ、肺細胞が攻撃を受ければ間質性肺炎が生じます。
オプジーボやキイトルーダの薬効と副作用について説明をしました。2020年12月の段階では、オプジーボもキイトルーダも小児腫瘍には適応症は取得していません。ただこれから小児腫瘍に対しても適応が広がる可能性はあります(そうあってほしいです)。その時に子供でも分かりやすく説明して上げれるようになりたいと思います。もし、ご不明な点があれば記事の修正は致しますので、コメントいただけると幸いです。
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