キイトルーダがお勧め?あなたの肺腺癌のタイプは?その効果は?

非小細胞肺がん

肺がんの、特に肺腺癌の治療成績の伸びは驚くべきものがあります。私が医師になりたての頃は、4期の肺腺癌の患者さんの半数は1年生きることはできませんでした。もう20年前の頃になります。当時の生存期間の中央値は10か月程度でした。今は生存期間の中央値は、肺腺癌のタイプによりますが、3年を超えてきています。ここで疑問に思われるのが、肺腺癌のタイプ?だと思います。あなたの肺腺癌の治療の第一選択にキイトルーダをお勧めされたのであれば、以下のようなタイプだと考えられます。

1.キイトルーダとは?簡単に。

キイトルーダは免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤です。通常、人の体に癌細胞になりうる細胞が生まれると自分の免疫によって排除されます。しかしこの免疫から逃れるすべをもって生まれた癌細胞がいます。この癌細胞はPD-L1と呼ばれる目印を持っており、この目印を持っていると免疫担当細胞に攻撃されない免罪符になります。キイトルーダはPD-L1に対する免疫細胞のセンサー(PD-1)に目隠しをして、攻撃性を取り戻すことを目的に作られた薬剤です。同じメカニズムの薬剤にオプジーボがあります。

2.キイトルーダが効く肺腺癌の特徴は?

全てではありませんが、上述したPD-L1を有した癌に効果が認められやすい傾向があります。したがってあなたの肺癌がPD-L1を強く持っているタイプであればキイトルーダを推奨されるでしょう。でも、PD-L1が強く持っていないと説明を受けたのに、第一選択からキイトルーダを推奨されたという患者さんもいると思います。そんな患者さんのための説明には、もう少し前置きが必要なので順を追って説明させていただきます。

3.キイトルーダが期待できない非小細胞肺癌の特徴は?

癌細胞の成り立ちから考える必要があります。キイトルーダが効く癌細胞の特徴の逆を考えればよいのです。例えば、免疫細胞を潜り抜けて増えたのではなく、免疫細胞の攻撃を上を行く増殖力を持った癌細胞がキイトルーダが効かない癌細胞です。この手の癌細胞の代表がドライバー遺伝子変異陽性の癌細胞です。別途ブログにアップしますが、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子などがドライバー遺伝子変異陽性の代表です。このタイプの癌は免疫チェックポイント阻害剤を使うより、それぞれの遺伝子を抑制する分子標的薬を使用することのほうが効果的です。

4.PD-L1が強く認めないのにキイトルーダを勧められた患者さんへ

PD-L1が強く認めなくともドライバー遺伝子変異が陽性であればキイトルーダを勧められないことはご理解頂けたと思います。ではPD-L1が強く認めないし、ドライバー遺伝子変異が認められない患者さんはどうするの?当然の疑問ですよね。そんな患者さんは従来の抗がん剤による化学療法が第一選択でした。しかしながら現在の標準治療は、その化学療法にキイトルーダを上乗せします。その根拠となった試験が、KEYNOTE-189試験です。詳細はまたの機会にしますが、この試験によって、ドライバー遺伝子変異が陰性で、PD-L1が強く認めない患者さんに標準化学療法+キイトルーダを上乗せすることで、全生存期間の中央値が上乗せしない群と比べて、10.2か月から17.3ヵ月を延長しました。この試験の結果を根拠にキイトルーダを標準化学療法に上乗せしています。

肺腺癌はかつてはひとくくりの疾患として扱われていましたが、遺伝子検索など様々な評価により、どんどん細分化されています。その分治療方針も複雑になっています。あなた、もしくはあなたの家族の肺腺癌がどのタイプの肺腺癌なのかを知ることは非常に重要です。1点気を付けていただきたいのは、上記の治療はあくまでも癌患者さんではあるものの、肝臓や腎臓、心臓などの臓器が元気であること、また食事などを十分に摂取できる全身状態が良好な患者さんであることが前提です。全身状態が悪い方や、75歳を超えているような高齢者は治療対象にならないこともあります。治療に当たっては主治医と十分に相談されてください。本ブログが皆さんが主治医とお話をするにあたっての良好な予習になれば幸いです。

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