キイトルーダの副作用をブログで検索している患者さんへ。

薬の開発
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多くの患者さんやご家族が自身の経験を他の患者さんにも伝えたいとブログにアップしてくださっています。それ自体は非常にありがたい話であり、とても高尚な行為だと思います。ブログなんてものがない時代には、個々の病院や自治体で患者会のような形をとってお互いに情報交換をするしかありませんでした。人付き合いが苦手の方や話すのが苦手な方は、患者一人切りもしくは家族だけで病気と向き合わなければならなかったのです。他の患者さんのブログを見て、勇気づけられる方もいるでしょう。反対に重たい気持ちになる方もいるでしょう。発信している側は、人を不幸にしようと思ってブログにアップしている訳ではありません。でも、副作用の話を聞くと心配になりますよね。特にこれから化学療法を始めようとしている方にとっては。ここではキイトルーダを例にとってブログの情報をネガティブにとらない方法について考えたいと思います。キイトルーダは、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる新しいタイプの抗がん剤で、オプジーボと同様販売開始からまだ日が浅い印象があると思います。そのため副作用についても未知な部分が多いのでは?と心配な方もいらっしゃるでしょう。そんな方の不安を少しでも取り除けたらと思います。

1.キイトルーダの副作用は?

添付文書を見ると沢山の副作用が記載されています。間質性肺炎、大腸炎、小腸炎、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、類天疱瘡、神経障害、肝機能障害、甲状腺機能障害・・・。それぞれがなんだか恐ろしい単語であり、一つ一つを冷静に見ていくことなど普通の患者さんには無理です。

2.キイトルーダの添付文書に記載されている副作用の頻度を深刻に思わない。

添付文書の副作用の欄には、頻度が記載されています。この”頻度”は添付文書が作成された、もしくは改訂された時点での頻度です。したがってキイトルーダが販売開始したの2017年ですので、それ以降の頻度は基本的には減少しているはずです。なぜならば副作用の出やすい人の傾向を掴むことに、企業の安全性部門も医師も非常に熱心です。それこそ毎年のように研究発表がされています。特にこの免疫チェックポイント阻害剤については、世界中の癌関連の学会で研究発表がなされています。そのデータをあなたの主治医は必ず見逃していません。あなたがキイトルーダをお勧めされたのであれば、副作用の出やすい人とは認識されていないのです。

3.キイトルーダの副作用ブログを深刻にならないでよい理由。

添付文書の記載と同様です。副作用を報告してくださっているブログの更新時期を確認してください。今とどれくらいの差がありますか?もし1年以上の差があるのであれば、もうその副作用の対処方法は既に標準化されており、問題になっていないかもしれません。薬剤の効果の研究は、非常にお金がかかります。一つの適応疾患で有効なデータを獲得するにはそれこそ1億円では足りません。しかし安全性情報の解析や対処方法の研究は市販後に臨床医が通常の治療費だけで研究しています。特に抗がん剤の世界では、副作用コントロールは臨床医の至上命題と言っても過言はありません。ブログを見てひとりで心配になるくらいなら、ブログの記事に更新日を確認して、内容をメモして主治医もしくは看護師、薬剤師に相談してください。もう解決した問題かもしれませんよ。代表的な副作用は、1型糖尿病でしょう。まさかそんなことが起きるとも思ってなかったから大問題になりましたが、起きるとわかれば対処は簡単です。定期的な血液検査や尿検査で重篤化することなく、現場では対処しています。

薬剤開発はまさに日進月歩です。特に抗がん剤の世界は早いです。世界中の癌の専門医がしのぎを削り、日々研究を行っています。また製薬企業もその薬剤をより安全に多くの患者さんに届けようと安全性情報の解析には予算を惜しむことなく研究しています。一旦安全性に疑問を付けられ、使用を躊躇されるようになると、あっという間に退場させられるのが今の製薬の世界です。

初めて抗がん剤による治療を行う患者さんやその家族の方の不安はよくわかります。私も父を癌で亡くしました。ネットで情報収集をすることは否定しません。ただ抗がん剤の世界は情報のアップデートが非常に早いのも事実です。最新の情報は日本語では入手困難です。誰でも不安で、心配です。どうか遠慮なさらず担当の医療スタッフにお尋ねください。

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