乳がん治療と不妊治療が両立できないワケは?再発の危険性は?

乳癌
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だいたひかるさんが乳がん治療を中断して、不妊治療を優先するとニュースがありました。乳がんの治療と不妊治療が両立しないワケを改めて確認しましょう。

 お笑い芸人のだいたひかる(45)が19日、フジテレビ系「バイキングMORE」にVTRで出演し、乳がん治療を中断し、不妊治療に踏み切った心境を明かした。ネット上では「涙が出る」「頑張れ」などと激励と感動の声が散見された。

引用:中日新聞

乳がん治療の基礎

乳がんの大半は、エストロゲンというホルモンに反応して大きくなります。したがってエストロゲンの刺激をコントロールすることが、乳がん治療の柱と言えます。エストロゲンをコントロールする乳がん治療は、大きく分けて閉経前と閉経後に分かれます。その理由はエストロゲンの分泌に関わります。閉経前は卵巣からエストロゲンが分泌されますが、閉経後は副腎から分泌されるアンドロゲンという男性ホルモンが、アロマターゼという酵素によって変化し、エストロゲンが発生します。閉経前は、エストロゲンがくっつく受容体を直接ブロックするタモキシフェンという薬剤が利用され、閉経後はアロマターゼを抑制するアナストゾール等が利用されます。

乳がん治療のタモキシフェンが不妊治療の邪魔になるワケ

タモキシフェンは、エストロゲン受容体をブロックします。エストロゲンは、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態にするためのホルモンです。したがってエストロゲンが不十分な状態で、仮に受精卵が子宮に降りてきても着床することなく、流れてしまいます。

ただ、タモキシフェンの投与量をコントロールすることで、排卵を誘発する「クロミフェン療法」と呼ばれる方法もあります。ただあくまでも排卵までです。タモキシフェンには、催奇形のリスクがあります。したがって妊娠を希望される女性には基本的には投与しません。

乳がん治療のタモキシフェンを止めたときの再発リスクは?

再発リスクの研究としては、EBCTCGという早期乳癌国際連携グループによる調査が有名です。本調査では、術後ホルモン療法の効果を評価するため、術後にタモキシフェンを全く飲まなかった人と飲んだ人を比較しました。すると再発リスクは、1-2年飲んだ人では26%減り、5年内服した人では41%減っているという結果を確認しています。本試験を根拠に術後のホルモン療法は5年行うことが標準的です。
だいたさんの場合は、昨年の3月に再発を認め、放射線療法を実施しています。再発時には初発時よりも再発するリスクは当然高くなります。データとして提示できるものはありませんが、50%以上のリスクはあるものと考えます。
出来るだけ早期に不妊治療に成功して、出産まで再発無く過ごし、そして出産後に速やかに治療が再開できることを祈っております。

 

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