多発性硬化症と誤嚥性肺炎の関係性とリスク。予防のためには?

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金平師匠がお亡くなりになったとの速報を見ました。死因は誤嚥性肺炎だったとのことですが、ずいぶん前から多発性硬化症で治療を受けられていたとも聞いていました。多発性硬化症は病状の進行に伴い嚥下機能が低下します。嚥下機能が低下すると、誤嚥性肺炎を生じやすくなります。もうちょっと詳細に説明します。

 

 日テレ系「笑点」の解答者として知られる落語家の林家こん平(本名・笠井光男)さんが17日午後2時2分、誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去したことが21日、分かった。77歳。関係者によると葬儀・告別式は19日に近親者で済ませた。2005年7月に、難病の「多発性硬化症(MS)」であることを公表。一線からは退いたものの、一門の落語会や落語家仲間による卓球サークル「らくご卓球クラブ」では元気な姿を見せていた。

参照:報知新聞

 

 

多発性硬化症とは?

 

多発性硬化症は、神経をまとうミエリンが壊れる疾患です。神経は電気シグナルで相互に伝達をしています。ミエリンは神経の周りをまとう絶縁体で、電線の周りのゴム管のような働きを持っています。ミエリンが脱落すると電気シグナルが上手く伝わらなくなります。するとどう部位の神経機能が脱落します。病変は脳や脊髄、視神経のあちらこちらに生じます。病巣が出現した部位によって、様々な症状が出現します。

 

多発性硬化症の症状は?

 

よく起こる症状としては視覚障害があります。ものが見えにくくなったり、二重になったりします。症状は良くなったり悪くなったりするのが特徴です。医学用語では再発と寛解を繰り返すといいますが、繰り返しているうちに全体的に悪くなり回復が認められなくなります。徐々に筋力そのものが低下します。低下する筋力には呼吸筋の低下も含まれ、呼吸筋が低下すると咳ができなくなります。また構音障害と言って声門の動きも低下するため、誤嚥も生じやすくなります。両者の筋力・動きが低下すると誤嚥性肺炎を生じることになります。肺炎そのものを一旦治療しても口腔内の唾液を誤嚥するので、根本的な回復にはつながりません。最終的にはお亡くなりになります。

 

多発性硬化症の治療は?

 

多発性硬化症は自己免疫疾患と考えられています。そのため病状が悪化している時には免疫抑制剤であるステロイドがメインとなります。病状が悪化していない安定期には悪化を予防するための治療が行われます。現在承認されている治療としては、インターフェロンβ、グラチラマー酢酸塩、分子標的治療薬のナタリズマブ、フィンゴリモドやフマル酸ジメチルなどが挙げられます。2020年9月には新薬としてシポニモドフマル酸も加わっています。

誤嚥性肺炎の予防のためには

 

予防のために必要なのは薬物治療だけではありません。リハビリ治療も重要です。嚥下訓練・呼吸訓練など理学療法士が行うリハビリも重要な予防策の一つです。

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