救助ヘリから女性落下し死亡。業務上過失致死?適用範囲?

時事問題
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福島県いわき市で台風19号の救助活動中にヘリコプターでつり上げた女性(77)が落下し死亡した事故で、県警いわき中央署は10日、業務上過失致死の疑いで、救助活動に関わっていた東京消防庁の隊員2人を書類送検したと明らかにした。

引用:共同通信

まずはお亡くなりになった女性のご冥福をお祈り申し上げます。さて業務上過失致死罪が適用されるか否かで裁判になる分野に、道路交通と医療行為があります。交通事故におきて「業務上過失致死」が適用される場合には、「飲酒運転」「制限速度違反」「一時停止違反」といった明確な基準があります。医療行為に関しては、道路交通ほどの明確な基準はありません。一般的な医学書(教科書レベル)に、「〜しなければならない」、または、「〜してはいけない」ということが明記されているよ
うな、医学的に誰もが知っている(知っていなければいけない)明らかな医療水準に反する場合を指すとされていますが、様々な状況で刻一刻と変化する患者に対応している医療従事者からするとこれでも明確は言えないと言われています。

では、今回の救助活動に関して「業務上過失致死」が適用される基準は何でしょう。例えば、「隊員が飲酒していた」は明確にアウトですよね。「ルールにのっとった安全装備を怠った」もアウトかな?これも急がなければならない状況があれば仕方がないような気がします。今回の事例については、「女性を救助する際、隊員が救助装置のフックをロープに付け忘れたままつり上げた結果、女性が落下した」ことが業務上過失致死に該当するか否かが争点です。しかしながら台風の中ヘリコプターによる救助であり、その中で生じた事例であることは考慮するべきだと思います。本来は個人にも処分を考慮するのではなく、再発防止策の徹底を図るべき事例であると思います。個人に責任を負わせても何も解決しません。救命救助に従事する方々のモチベーションを損なわないようにお願いしたいです。

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