スキルス胃がんステージ4と言われた時の余命は?治療効果は?

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スキルス胃がんは、胃がんの中でも

特に予後(医学上の見通し)が悪いと言われます。

がんという疾患で予後が悪いというのは、

  • 治療効果が期待できない
  • 病勢進行が早い
  • 生命予後が短い

などを意味します。

それぞれの理由と現在の治療効果についてお話します。

治療効果の結論にはいわゆる余命についてもお話します。

 

スキルス胃がんの治療効果が期待できないワケ

スキルス胃がんが早期発見が困難であることは

先日記事にまとめました。

参考:スキルス胃がんの初期症状をチェックする!早期発見のために。

外科的手術について

早期発見ができないということは、

発見時には多臓器に癌細胞が広がっており、

手術で取り切ることが困難であることです。

放射線治療について

では放射線治療はどうでしょうか?

放射線治療は治療のコンセプトは

手術とよく似ています。

手術で切り取るには範囲が広いが

放射線を当てることのできる範囲に

病変が限局していれば選択します。

ただ胃がんに関しては放射線療法を

根治目的に使用することはありません。

その理由として、

  • 胃がんの細胞が放射線の感受性が低い事
  • 胃を含めて周囲の臓器が放射線に弱い事

などが挙げられます。

癌によって胃や腸管が閉塞してしまい

その閉塞部位を解除するために放射線療法を

行うと言った緩和目的に使用が大半です。

 

基本的にはがん治療における根治を目標とした

治療方法は外科的手術と放射線療法です。

つまり病変が限局していることが前提であり

限局していない癌は根治不可能*とみなします。

*一部抗がん剤の効果が非常に優れており

抗がん剤でも根治可能な癌種はあります。

 

化学療法について

化学療法とは抗がん剤による治療です。

ここでは免疫チェックポイント阻害剤については

除外します。

胃がんの化学療法の基礎は

白金系抗がん剤とフッ化ピリミジン系抗ガン剤を

併用することが基本的な治療方法になります。

胃がんに対して最も使用されている治療方法である

シスプラチンとTS-1併用療法の治療成績は

生存期間中央値で13か月程度です。

この数値は簡単に言うと100人の試験で確認したとすると

短い期間から順に並べて50番目の人の余命期間を指します。

言い換えると100人いると50人は13か月以内に亡くなる

と、言うことです。

13か月という期間については、かつては6~7か月程度であった時代を

知る身としてはずいぶん良くなったと感じますが、

病気になった人のことを思うと決して満足できる数値ではありません。

 

免疫療法について

ここでいう免疫療法は

免疫チェックポイント阻害剤のことです。

巷にはびこる細胞免疫療法などのエビデンスのない

治療方法ではありません。

 

現在本邦で胃がんに適応を取得しているのは

ニボルマブのみです。

またニボルマブが使用できるのは、2021年2月現在では

がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌

に、のみ限定されています。

 

ニボルマブが胃がんに対しての効果を確認した試験は

ATTRACTION-2試験という試験の結果によります。

本試験はがん化学療法後の増悪した患者さんを対象としています。

ニボルマブを投与した群とプラセボを投与した群を比較検討しており、

生存期間の中央値がニボルマブ群5.26か月、プラセボ群4.14か月と

ニボルマブ群の生存期間の延長を確認しています。

参照: Lancet 2017 Dec 2;390(10111):2461-2471

 

スキルス胃がんは英語では

胃がんの中のDiffuse Typeに該当します。

本試験の結果を見る限りスキルス胃がんは

プラセボと大きな差はありません。

 

スキルス胃がんの生命予後が悪い理由

治療効果が期待できない理由を述べました。

もう一つスキルス胃がんの予後が悪い理由があります。

それは「低分化癌」であることです。

癌にはその細胞と細胞の集団の特徴から

高分化癌~低分化癌に分類されます。

高分化癌は癌細胞ではありますが、

元の臓器の形状を残しています。

そして癌の進展がゆっくりであることが特徴です。

逆に低分化癌は元の臓器の形状を残さず

非常に進展が早いのが特徴です。

スキルス胃がんは低分化癌で進展が早いタイプです。

 

スキルス胃がんについては暗くなるような話題ばかりを

お話をしましたが、現代の医学の発展スピードは凄まじいです。

今もこの瞬間、世界の天才が治療薬の開発に力を注いでいます。

特に癌の遺伝子解析から開発される新薬は次々と現れます。

私は患者さんにいつも伝えています。

「今できる治療をしっかりと受けることで

次の新薬の治療につなげることができます。

決して絶望することなくできる事をすることが大事です。」

と、お伝えしています。

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