イグザレルトは腎機能に応じた投与量のチェックが大切!

心房細動
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イグザレルトは、世界で最初に開発され、販売開始になった直接第Xa因子阻害経口抗凝固薬です。「なんかよくわからん」って声も聞こえますが、要するに従来傾向の抗凝固薬はワルファリンのみでしたが、そのワルファリンの欠点を補うために開発された薬剤です。現在直接第Xa因子阻害経口抗凝固薬はイグザレルトの他に、エリキュース・サベイサの3剤が市場にあります。今回はイグザレルトの内服を開始するにあたって非常に重要な腎機能の話です。

1.イグザレルトの投与前に腎機能を確認しなければならないワケ

どんな薬剤でも体内で分解され、体外に排出されます。排出経路は尿であったり、便であったりしますが、イグザレルトは尿から排出されます。正確には肝臓で代謝され、腎臓から排出されます。したがって腎臓の機能は落ちている患者さんはイグザレルトが体外に排出されず、薬の効果が予想よりも強く出る可能性があります。

2.イグザレルトの投与前にどうやって腎機能をチェックするの?

腎機能のチェックはある計算式を利用します。計算式の名は、「Cockcroft-Gaultの式」と呼ばれる計算式です。計算に必要な項目は、性別、年齢、体重、血清クレアチニン値です。具体的な計算式は以下の通りです。

  • 男性:(140−年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)
  • 女性:0.85×(140−年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)

めんどくさそうですね。でも大丈夫。そんなニーズはしっかりと企業が受け止めてます。以下のホームページから必要な項目を入れるだけで計算をしてくれます。

QLifePro(キューライフプロ) 〈https://calculator.qlifepro.com/creatine_clearance.html〉

3.腎機能の計算は自動で結果には表れない?

一般的に自動的に表示される腎機能は、eGFRと呼ばれる指標です。eGFRも上記に似た計算式によって算出されるのですが、残念ながら体重が計算式に組み込まれません。標準体重を勝手にあてがわれるので、やせ型の高齢者などは見た目よりずっと良い腎機能の数値を示されます。つまりeGFRに従って投与量を決めてしまうと、必要以上のイグザレルトが投与されてしまい、副作用の可能性がぐっと上がってしまいます。まさか医者がそんなことしないでしょう??って思っていると残念な結果が起きます。イグザレルトではありませんが、プラザキサという経口抗凝固薬で腎機能の評価が不十分だったため、不幸な患者さんがたくさん生じました。当時そのこと重く見たPMDAは緊急安全性速報(通称ブルーレター)の配布を企業に指示しています。あなたがイグザレルトの投与を勧められたら、必ず主治医はあなたの体重を確認しているはずです。もし体重を効かれなければ、主治医はeGFRで済ませようとしているかもしれません。自分の身を守るためにも、イグザレルトの投与量は体重を加味した腎機能で計算しなくてはならないことを記憶しておきましょう。

4.イグザレルトの腎機能に応じた投与量は?

添付文書より抜粋します。

〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉

  • 通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。
  • クレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者には、10mgを1日1回投与する。
  • クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者には、本剤投与の適否を慎重に検討した上で、投与する場合は、10mgを1日1回投与する。

『深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制』を対象にした投薬に関してはこの限りではありません。

ご自身で腎機能をチェックするには、血液検査のデータを主治医からもらってください。検査用紙に「クレアチニン」という検査項目があるはずです。もし無ければ「CRE」「Cre」などと記載されているかもしれません。ご自身の投与量が適性がどうか、ご家族の方の投与量が適性がどうか1回は確認してみても良いかと思います。残念ながらまれに投与量が過量になっている患者さんに出会うことがあります。

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