失明を予防?京大の新薬「KUS121」はなぜ効く?機序は?

雑学
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目の血管が詰まって失明に至る希少疾患「網膜中心動脈閉塞(へいそく)症」に、京都大が開発した薬剤「KUS121」が有効だと、京大の研究チームが医師主導治験で確認した。この薬剤の治療での効果確認は初めてで、中途失明原因の約3割を占める緑内障や、網膜色素変性症にも有効と見られ、今後も治験を重ねて5年以内をめどに治療薬としての承認申請を目指す。成果は2月14日、米科学誌「プロスワン」電子版に掲載された。さまざまなストレスで細胞のエネルギー源「ATP」が枯渇すると、細胞が死んで難治性疾患が引き起こされる。KUS121はこのATPの消費を抑えることで細胞死を抑制する効果を持つ。

引用:毎日新聞

京都大学にて臨床試験を実施中の「KUS121」は、網膜中心動脈閉塞症のみならず、脳梗塞や心筋梗塞にも効果が期待される薬剤です。記事にもありますが、その効果は細胞内のATPの消費を抑えることができるとありますが、そもそもATPって何?ATPの消費ってどうなってんの?ってのが大半の人の印象でしょう。

大学2年生の時に生化学で学ぶ内容です。ATPとは「アデノシン3リン酸」の略です。ATP事態は核を有する細胞で成り立っている生物であれば、動物から細菌まで様々な生物が利用しています。ATPに含まれるリン酸が離れたり、くっついたりすることでエネルギーの産生と貯蔵を可能にしています。KUS121はこのATPの消費を減らすことができるという訳です。ちなみにKUSはKyoto University Substancesの略です。

心筋梗塞では、この薬剤を心臓カテーテルで詰まった血管を広げた後に注入します。ブタの実験で効果は確認済みで、現在ヒトに対しての臨床試験を計画中です。脳梗塞に関しては、マウスの基礎実験ではありますが、本剤の投与にて脳梗塞体積の減少を確認しています。

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