抗体カクテル療法承認。その特徴は?あの新規効能・効果追加!

新型コロナウイルス肺炎
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こんにちは。

企業勤めの内科医ヒロスケです。

今回は抗体カクテル療法についてお話しします。

厚生労働省は7月19日、抗体カクテル療法と呼ばれる中外製薬の新型コロナウイルス感染症の治療薬である、

ロナプリーブ点滴静注セット(一般名:カシリビマブ、イムデビマブ)

を特例承認しました。

ロナプリーブがこれまでの薬と異なる点は?

本剤の適応が、新型コロナウイルス感染症の軽症から中等症である点がこれまでの薬剤と大きく異なります。

あくまでも重症化リスクを有する症例が対象ではありますが、海外で行われた臨床試験では死亡や入院のリスクが約70%減少しています。

日本では当面の使用は入院患者に限られると言われていますが、データの蓄積から安全性に問題がなければ随時外来でも使用されると予想します。

ロナプリーブの特徴は?

ロナプリーブは、抗体カクテル療法です。

新型コロナウイルスに対する2種類のウイルスの中和抗体である

  • カシリビマブ
  • イムデビマブ

を組みあわせた薬剤です。投与経路は点滴になります。

ロナプリーブの効果は?

新型コロナウイルスは、ウイルスの表面に存在するスパイクタンパクと呼ばれるたんぱく質が、感染者の細胞表面に存在する酵素に結合して侵入します。

カシリビマブとイムデビマブは、「マブ」と末尾にあるので抗体製剤であることがわかります。

本抗体はウイルスのスパイクタンパクを標的として結合し、人の細胞表面にある酵素との結合を阻害するのです。

海外で実施された臨床試験は、重症化リスク因子を有した症例を対象として実施されています。

重症度としては、酸素飽和度93%(室内気)以上の患者を対象としています。

結果解析によると、入院または死亡に至った割合は、治療薬投与群で1.0%、偽薬投与群で3.2%となっており、その重症化リスクは70.4%減少させたと評価されています。

令和3年11月に追加された効能・効果は?

令和3年11月に新投与経路、新効能が追加されました。

投与経路はこれまで点滴静脈内投与だったものに、皮下注射が追加

新効能には、SARS-CoV-2による感染症に、その発症予防が追加されました。

皮下注射のメリットは?

皮下注射のメリットは何と言っても投与時間の短縮化です。

点滴投与だと30分程度の時間を必要とし、その間は病院のベッドを使用する必要があります。

しかし、皮下注射なら外来でそのまま注射も可能となります。

もちろん往診先で投与するのも非常に簡単にでき、老人ホームなどでの使用が楽にできます。

発症予防の試験結果とメリットは?

発症予防を確認した試験の内容は、家族内感染を対象にしています。

SARS-CoV-2感染者と同居するSARS-CoV-2による感染症の症状がない12歳以上の方を対象にしています。

治験薬(ロナプリーブ)の投与前にRT-PCRでウイルスの有無を確認しておりますが、あくまでも症状が出現していない方を対象にしています。

RT-PCRが陰性だった群での解析結果です。

治験薬投与群で発症した率は1.5%(11/753例)、プラセボ投与群では7.8%(59/752例)でした。

RT-PCRが陽性だった群での解析結果です。

治験薬投与群で発症した率は29.0%(29/100例)、プラセボ投与群では42.3%(44/104例)でした。

上記二つの解析結果共に統計学的に有意差をもって有効性が証明されています。

これによってこれまでウイルス検査では陽性ではあったが、発症していない患者さんへの治療が可能になったと考えられます。

 

ただロナプリーブは日本人の安全性情報をまだ収集解析中です。

安易にどこでも使用できるようになるまでには、もうしばらく時間が必要だと思われます。

やはり常日頃より自分の健康管理をしておく必要はあります。

人間ドックや健診はしっかり利用しましょう。

健診に行く機会を逸しているのであれば、自宅でできる人間ドックの利用は考えても良いと思います。

この機会に夫婦で健診をする、実家のご両親にプレゼントするなどもお勧めです。

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