結核集団感染の定義は?原因は?治療はどうするの?

結核
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岡山と東大阪で結核の集団感染があったとの報道がありますが、いったいどの程度の集団感染なんでしょうか?BCGによる予防接種により結核はまれな疾患であると一般の方は思っていますが、残念ながら肺結核は決して珍しい疾患ではありません。日常診療においても呼吸器内科医からすると2週以上続く咳嗽や、微熱を見ると真っ先に頭に浮かぶ疾患が肺結核ですし、そうでないと見逃しいてしまいます。BCGは残念ながら100%感染を予防できるワクチンではありません。また時間が経つとその効力は弱まります。詳しくは関連記事の「BCGの効果持続期間は?効果がない人・なくなる人っているの?」をご参照ください。

1.結核集団感染の定義は?

結核の集団感染の定義は、「同一の感染源が2家族にまたがり、20人以上に感染させた場合。ただし発病者1人は6人が感染したものとして、感染者数を計算する」と定義されています。結核感染症を医師が見つけたときには結核予防法に従い保健所に報告する義務があります。保健所は報告を受けると感染症を発症した人の周りの方に感染者がいないかを調査します。その中で集団感染を認めると保健所は厚生労働省に報告することになっています。

2.結核集団感染の発生場所は?

2007年から2017年までの集計によると一般の事業所が43%、家族・友人間が30%、病院等21%、社会福祉施設9%、学校12%となっており、集団生活を送る場所であればどこであっても集団感染が生じる可能性があることが分かります。ただやはり高齢者の密度の濃い病院や老人施設の集団感染リスクは高いということは間違いありません。

3.結核の感染経路は?

新型コロナウイルスの感染拡大が始まったときに空気感染か接触感染かと話題になりましたが、結核は空気感染です。したがって、その感染が拡大する力は新型コロナの比ではありません。ただし、結核菌が体内に侵入した人が全て発症するわけではありません。感染したとしても実際に肺結核になるのは10人中1~2人くらいと言われています。大半の人は自身の免疫力で結核菌を退治してしまいます。

4.肺結核の治療は?

現在肺結核の治療は標準治療が確立しています。一部の耐性結核菌を除けば100%治癒します。ただ耐性結核菌の存在は近年問題視されています。標準治療に従い、耐性菌を増やさないよう治療を行うことが求められています。治療は内服薬が中心となります。内服が困難な症例には注射が使用されることがあります。基本的には痰から結核菌が消失するまでは、結核予防法に従い入院加療が原則です。また肺結核を発症した人の濃厚接触者として認定された場合には発症の予防薬を勧められることもあります。

今回報告された集団感染がどの程度なのかは確認する必要がありますが、保健所の調査は結構丁寧に行われます。現時点で保健所から何かしらの連絡がなければ自分を含めて感染のリスクは非常に低いものと考えていただいて大丈夫です。

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