肺結核集団感染の最初の人はどうしてなるの?

結核
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岡山市は10日、市内で60代の女性が結核を発病し、この女性を発生源とする集団感染が発生したと発表した。女性の同居家族3人が発病、女性の勤め先の関係者2人が無症状の感染者と確認された。女性を含め6人とも他に感染させる恐れはないという。

引用:毎日新聞

集団感染については既に述べておりますので下記関連記事よりご参照ください。今回は集団感染の最初の一人について述べます。結核が人から人へ広がる感染症であることは周知のことですが、最初の人はなんでなるのでしょうか?

1.知らぬ間に感染しており、潜伏期間が長いパターン。

何年も前に肺結核を発症した人と知らぬ間に接触しており、この患者さんから結核菌をうつされています。当時は本人の体力と免疫力で結核菌を抑え込むことに成功したものの、体の中に結核菌が残ります。高齢になるにつれて免疫力が低下したり、リウマチ等の疾患を発症し治療薬に免疫抑制剤を使用した途端に発症したりといったパターンがあります。結核菌に感染すると誰しもがすぐに発症するわけではありません。時間が経ってから発症するパターンが少なからずあります。

2.若いころに治癒した結核が再発するパターン。

高齢発症の肺結核の患者さんは大半がこのパターンです。日常診療で見る状況としては、画像所見上は古い肺結核の跡なんですが、症状から肺結核を否定できないために精査をすると痰から結核菌が確認されるというパターンです。残念ながらよく見るパターンです。若いころに結核になったけどもう治ったからと言ってその免疫力は一生涯続くわけではありません。油断は禁物です。

3.HIV感染者だったパターン。

1にも2にも通じるパターンではありますが、結核患者を診ると一応HIVの有無は確認したほうが良いでしょう。面と向かって患者さんに向かってHIV感染の可能性はないですか?って聞いたら否定されるのがオチですが、やっぱり確認が必要です。なぜなら、結核治療の効果や予後が大きく変わってくる可能性があります。

4.自分が感染拡大の原因にならないためには。

2週間以上咳や微熱(37.0度以上)が続く場合には病院を受診してください。また自治体の検診を定期的に受けるようにしてください。肺結核の発症の有無は胸部レントゲンで大半が判別できます。

肺結核は決して過去の病気ではありません。毎年どこかで集団感染は発生しています。日常診療でも珍しい疾患ではありません。自身が感染拡大の原因にならないように体調管理に努めてください。

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