なんとなくですが、ベジタリアンって健康に良さそうの印象を持っていました。しかし、そんなベジタリアンの食習慣が健康にどう影響を及ぼすのかを確認する試験が英国オックスフォード大学のグループで行われ、発表されています。ベジタリアンって長生きできるの？
肉や魚を食べず、野菜中心の食生活を送るベジタリアンは、肉も食べる人たちに比べ、虚血性心疾患（心筋梗塞、狭心症など）のリスクが2割ほど低い一方で、脳卒中のリスクが高く、特に出血性脳卒中（脳出血、クモ膜下出血など）のリスクは4割以上高くなることが、英国で行われた研究で示されました。
引用：日経Gooday
血管が詰まるリスクは下がるが、血管が脆弱になるってことでしょうか？
１．研究の対象者は？
オックスフォード大学の研究グループは、1993～2001年に虚血性心疾患、脳卒中、狭心症または心血管疾患の既往がない4万8,188例を登録して追跡調査を行いました。登録時点をベースラインとして、その後再度2010～13年食事の情報を収集することで、肉食群：2万4,428例、魚食群（魚は食べるが肉は食べない人）：7,506例、菜食群：1万6,254例に分類しました。
２．出血性脳卒中とベジタリアンは関係する？
虚血性だろうが出血性であろうが、脳卒中の共通のリスクは高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満（BMI）です。これらのリスク因子を調整してもベジタリアンと出血性脳卒中との関連性は維持されており、合併症によるバイアスは否定的です。低コレステロール血症が脳出血のリスクになるということはよく知られています。米ハーバード大学のグループによると、LDLコレステロール値が70mg/dL未満に低下している女性では、出血性脳卒中の発症リスクが高まる可能性があると指摘しています。ベジタリアンの参加者が低コレステロール血症に該当していたのか否かはデータが提示されておらず不明です。
３．ベジタリアンとLDLコレステロール
LDLコレステロールの原因となるのは、飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は一般に乳製品や動物性脂肪に多く含まれています。コレステロールが高値になった人へ食事指導を行うのはこういったデータをもとにしています。確かに植物製品にはコレステロールは含まれませんので、高LDLコレステロール血症のリスクは下がります。ただ一概にベジタリアン＝低LDLコレステロール血症とはなりません。コレステロールは体内で作ることができるので、食品から摂取しなくとも大半人は問題ないはずです。
科学的にはベジタリアンの出血性脳卒中が多くなる理由ははっきりはしていません。あくまでもそういった傾向があるという事実を提示した研究です。ベジタリアンの方々は基本的には健康のためというより宗教であったり、主義であったりという理由が強いと思います。少なくとも健康を意識してベジタリアンになる必要はないと考えたほうが良いでしょう。ベジタリアンが長生きであるというデータでは今のところ見当たりません。
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