妊娠すると様々の薬が使えなくなります。これまで毎日使えていた薬が妊娠が判明した途端に使えなくなることもあります。では、気管支喘息の薬剤であるシムビコートはどうなんでしょうか?結論から言うと、シムビコートは問題ありません。継続してください。
1.シムビコートが妊娠しても安全な理由
シムビコートの薬効成分は吸入ステロイド(ICS)と長期作用型β2刺激薬(LABA)と呼ばれる気管支拡張薬の2剤です。そもそも吸入薬は気管に作用するよう設計されているので、血中に浸透する割は非常に微量です。そんな微量な薬剤ですから胎児への影響もほとんどありません。またシムビコートのICSは、パルミコートというICS単剤にLABAを加えています。パルミコートは、妊婦への安全性が確認されているため、ICSの胎児への影響は否定的です。パルミコートは、吸入ステロイド薬の中で唯一FDA(米国食品医薬局)で、安全性の高いカテゴリーBにランクされています。LABAについては、まだデータが不十分なところがあります。しかし、短期間作用型β2刺激薬の吸入薬や内服薬では催奇形の報告はなく、妊婦への安全性が確認されています。吸入よりも血中濃度が上がり、胎児へのばく露が高くなる傾向のある内服薬で問題ないので、LABAの吸入薬は安全であると考えるのが普通でしょう。
2.妊娠してもシムビコートを中止しないほうが良い理由
気管支喘息の治療では、ICSが基本となります。ICS単剤で効果が不十分な気管支喘息の患者さんにはその患者さんにとって良いと考えられる薬を追加していきます。追加される薬剤の一つとしてLABAがあります。つまりシムビコートを吸入している気管支喘息の患者さんは比較的重症患者さんであると言えます。安全性に優れた吸入薬を使用するのを躊躇し、喘息発作を生じ低酸素状態にでもなると余計胎児に悪影響を及ぼしかねません。逆に言うと妊娠したからと言って気管支喘息の治療内容を変更する必要はなく、それまでコントロールが良好であったのであれば、妊娠中も問題なく過ごせる可能性が高いということです。妊娠前より気管支喘息のコンロールが良好であれば、気管支喘息は妊娠のリスクにはならなくなります。
私は外来では若い女性の気管支喘息の患者さんを診ると第1選択はパルミコートを処方します。パルミコートのみではコントロールが不十分であれば、シムビコートに変更します。パルミコートやシムビコートの吸入器であるタービュヘイラーは若い方には吸入が容易であり、効果的です。その上妊娠時の安全性も確認されています。いずれにせよ若く妊娠の可能性がある女性にはシムビコートは良い薬剤だと考えられます。
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