誤嚥性肺炎の治療が困難なワケ。老衰といえる病態である理由。

呼吸器疾患
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日本における死因の上位に位置する肺炎。

肺炎と言われると大半の人が

細菌やウイルスによる感染性の肺炎を想像します。

しかし死因の上位に位置する肺炎の内訳には

誤嚥性肺炎が含まれています。

 

誤嚥性肺炎の治療が困難なワケ

誤嚥性肺炎について患者さんのご家族にお話しすると

大半の方は食べ物や飲み物を「誤嚥」した結果生じると

考えています。

もちろん食べ物、飲み物が原因であることもあります。

しかし大半は口腔内の唾液が原因です。

健常人であれば、唾液を誤嚥するとむせますよね。

しかし高齢者であったり、脳梗塞後の患者さんだと

このむせるという反射機能が低下しており

肺内に唾液が流れ込むことで肺炎になります。

唾液が原因で肺炎を起こしている場合、

根本的な治療は唾液を誤嚥しないようにリハビリをする以外

予防策はありません。

認知症のある高齢者や脳梗塞後の患者さんは嚥下機能が低下しており

リハビリには限界があります。

すると、リハビリが期待できない嚥下機能の低下により

生じた肺炎ですので、言い方を変える老衰とも言えます。

 

脳梗塞の部位によっては誤嚥性肺炎は高リスクになる

脳梗塞の闘病中に誤嚥性肺炎を見ることは珍しくありません。

医療従事者からすると起こすべきして起きた事象と言えます。

脳梗塞の発生部位によって症状は異なります。

嚥下機能をつかさどる部位は延髄です。

延髄を含む部位を脳幹部と言いますが、

脳幹部は多数の生命維持機能を有しているため、

ここに脳梗塞を起こすと非常に予後は悪いです。

 

脳梗塞後にリハビリを早期に開始する理由

脳梗塞を発症するのは大半が高齢者です。

また上記したように認知症もリスク因子となります。

何かしらの疾患で入院し、長期臥床を要すると

あっという間に認知症が進みます。

出来るだけ早期にリハビリを開始する必要があります。

リハビリを早期に開始することで

悪循環を断ち切る必要があります。

ただ現状の新型コロナ感染拡大に伴い

そういった速やかな治療が困難にはなっています。

またリハビリの重要性も上述した通りですが、

リハビリもコロナ感染によってむつかしい状況です。

感染症のみならず様々な分野に影響を及ぼしています。

 

誤嚥性肺炎の治療は?

誤嚥性肺炎の治療は通常の肺炎と違いありません。

誤嚥性肺炎の起因菌は嫌気性菌が大半ですので、

そこを狙った抗生剤が投与されます。

ただ誤嚥性肺炎は繰り返します。

嚥下機能の低下に伴う結果ですので、

嚥下機能が改善しない限り繰り返します。

超高齢者で嚥下機能の改善が見込めない患者に

治療の継続をお勧めしない先生がいる理由はここにあります。

また繰り返し抗生剤を投与することで耐性菌が出現します。

高齢者や脳梗塞患者の誤嚥性肺炎の治療が

むつかしい理由もここにあります。

人が生きていくうえで必要なものを

飲み込む機能が低下した結果生じた疾患ですので

上述したように「老衰」と考えるのも自然な流れとなります。

 

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