通称脳食いアメーバは、正式には「原発性アメーバ髄膜脳炎」と言います。原因となるアメーバの名称は「フォーラーネグレリア」という名前のアメーバです。フォーラーネグレリアは、温かい淡水に生息しており、人が汚染された水の中を泳いだり、浴びたりすると体内に侵入して感染症が成立します。
米テキサス州で今月、6歳の少年が脳を食べるアメーバに感染し死亡したことから、州知事が災害宣言を発令する事態に至っている。
引用:AFP
発展途上国などの汚染された淡水域に限らず、アメリカでも生じており、現地では大きなニュースとして取り上げられています。手入れが行き届いてないプールなんかにもいる様です。感染するとどういった症状が出現するのでしょうか?
1.脳食いアメーバの症状は?
フォーラーネグレリアは、ヒトの鼻から侵入して、脳に至ります。脳に到達すると脳や脊髄の炎症、壊死などが生じ、出血を来します。感染してから症状が出現するまでに、おおよそ1~2週間かかります。まずは嗅覚や味覚の変化が起きます。その後、頭痛、項部硬直、光過敏、吐き気、嘔吐といった症状が出現し、その後錯乱、眠気、けいれん発作と続きます。
2.脳食いアメーバの予防や治療法ってあるの?
まずは環境整備です。通常の殺菌処理を行っていればフォーラーネグレリアが繁殖することはありません。しかしながら、フォーラーネグレリアは単なる寒天培地でも培養での生育可能であることから、ある程度の水分があればどこでも生息する可能性があります。治療については、生存率が低く、特効薬はありません。一般的な治療として、ミルホテシンにあと1剤(アムホテリシンB、リファンピシン、フルコナゾール等の抗真菌剤、アジスロマイシン)を追加して治療を行います。
3.脳食いアメーバって日本でも報告があるの?
日本でも報告例があります。2020年現在で1例のみの報告ですが、日本にも脳食いアメーバが存在していると考える必要があります。本症例の感染経路は不明です。
4.脳食いアメーバは、不潔な川や湖、プールだけ注意しておけばいいの?
米国の報告では、温水器、浴槽から感染した例があります。また鼻洗浄の水が汚染しているとフォーラーネグレリアが鼻に侵入し、脳髄膜炎を発症する可能性が生じます。
少なくとも日本の水道水は安全だと考えられますが、外国によっては水道水にそこまで信用のおけない国もたくさんあります。海外旅行では、水に十分にお気を付けください。
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