デュピクセントの副作用は?その対処方法は?

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デュピクセントは、2020年8月の時点では、アトピー性皮膚炎・気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎を適応症として投与されています。これらの疾患であれば誰しもが投与できるというわけではなく、既存治療によっても十分な治療効果が認められないことが前提です。本剤の副作用を中心にお話ししたいと思います。

1.デュピクセントってどんな薬?

デュピクセントは、インターロイキン-4(IL-4)とインターロイキン-13(IL-13)というサイトカインの働きを抑える薬です。正確にはIL-4とIL-13の働きを伝える受容体をふさぐことができる薬剤です。サイトカインとは、細胞が放出する物質であり、サイトカインにより周囲の細胞が何かしらの影響を受ける伝達物質のようなものです。IL-4とIL-13は免疫細胞であるTリンパ球がTh2細胞に成熟する際に必要な伝達物資です。成熟したTh2細胞から、さらにIL-4やIL-13が産生され、次にB細胞という他の種類のリンパ球を形質細胞に成熟化させます。形質細胞は抗体の産生が可能になり、産生された抗体の刺激により肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が産生されます。これらの化学物質は、炎症の増悪を来し、皮膚炎や喘息、鼻炎の症状を悪くします。アトピー性皮膚炎・気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎といった疾患は、上記の細胞活性サイクルが過度に働いていることが分かっており、このサイクルの根本であるIL-4とIL-13を抑制することで効果を期待して開発された薬剤です。

2.デュピクセントの副作用は?

デュピクセントは、遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造る抗体製剤です。抗体製剤の宿命として、体質に合わない人が一定数おり、そういった患者さんは投与によりアレルギー反応が出現します。ひどい場合にはアナフィラキシーショックを起こすこともあるため、特に初回投与時には慎重に投与後の経過観察を行う必要があります。またデュピクセントの抗アレルギー反応効果の一つである好酸球の炎症部位への侵入を抑制することにより、血中の好酸球増多が生じることがあります。好酸球増多によって、好酸球性肺炎や好酸球性多発血管炎正肉芽腫症の報告もあります。その他注射部位の発赤などの反応に注意が必要です。また寄生虫感染の増悪の報告もあります。これはそもそも好酸球はもともとは寄生虫に対峙するための人間の免疫システムを担っていたことから、好酸球を抑制する結果生じた副作用であると考えられます。

3.デュピクセントの副作用と思ったら。

まずは主治医に相談が当然ではありますが、現在は自己投与が可能になっている薬剤ですので、勝手に投与の継続の可否を判断しないようにしてください。中止が必要で、かつ次回の投与からは再度医師の管理の下に投与を行う必要が生じることがあります。くれぐれも自己判断はお控えください。副作用それぞれは点滴、内服薬や塗り薬などの外用薬を適切に使用することで対処可能な副作用が大半です。過度に神経質になる必要はありませんが、正しく使用することを意識してください。

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