イグザレルトに休薬期間は抜歯で必要なのか?

心房細動

外来で頻繁に質問される内容の一つに抗凝固薬の休薬についてです。特に抜歯についての質問が多いですね。今回はイグザレルトの投与中に抜歯をする場合、休薬が必要なのか?どれくらい休薬をするべきなのか?についてお話ししたいと思います。

1.抜歯をする時にイグザレルトは休薬する必要がある?

答えは「No」です。基本的には、休薬は必要ありません。確かに抜歯によって出血の量が多くなる可能性はありますが、それでも血栓が生じることで脳梗塞を生じる危険性の方が高いのが事実です。その根拠についてお話ししましょう。

2.抜歯時にイグザレルトの休薬が不要であるワケ

日本では、これまで抗凝固薬をと投与中の患者さんに関して、出血がひどくなることを恐れて抜歯に関しては、抗凝固薬は中止していました。しかしながら、近年抗凝固薬の中止によって血栓や塞栓症が生じる危険性についても考察がなされました。研究によると抜歯時に抗凝固薬のワルファリンを中止すると約 1% の患者さんに脳梗塞が発症することが報告され、その中には死亡例もいました(Arch Intern Med, 158: 1610-1616, 1998)。こういった研究が積み重なり、現在では抜歯時に抗凝固薬を中止する必要はないというのが、世界の標準的な考えです。これらの研究対象はワルファリンでイグザレルトではありませんが、ワルファリンの有効域を逸脱していない限り休薬は不要であると結論が出されていることを考えると、より適正に治療域を維持しているであろうイグザレルトの休薬が不要と考えるのは世界の常識となっています。

3.抜歯時にイグザレルトを中止しなくても大丈夫なワケ

2では休薬をしない理由を記載しました。とはいうものの出血が心配なのが人情でしょう。では、本当にイグザレルトは大丈夫なんでしょうか?その答えは薬物動態にあると考えます。

(出典:イグザレルト適正使用ガイド)

ちょっと画質が悪いの申し訳ありません。伝えたいのは、イグザレルトは24時間ずっと効いている訳ではなく、内服後4~5時間には効果のピークを過ぎて効果自体は弱まっているという点です。つまり、出血がご心配な方は、抜歯の時間5時間ほど前に薬を内服しておけば、抜歯術が終わるころにはイグザレルトの効果は薄まっているので、出血のリスクは軽減されます。どうして効果が24時間続かないのに、血栓ができないの?って質問がありますが、そのことについてはまたの機会に。また抜歯に関しての出血については、様々な止血方法があり、抜歯の出血が命にかかわることは考えにくいと思います。しかし血栓症は命にかかわります。その点におけるベネフィット・リスクバランスは考慮するべきでしょう。

抜歯時における抗凝固薬の休薬は、基本的には不要です。止めなくても大丈夫?ってご心配な方は、逆に止めても大丈夫って発想の転換をしてください。

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