サリン中毒の症状とその治療方法は?

薬物中毒
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オウム真理教による1995年の地下鉄サリン事件の被害者で、寝たきりの生活が続いていた浅川幸子さんが10日にサリン中毒による低酸素脳症のため亡くなっていたことが19日、分かった。56歳。介護を続けてきた兄の一雄さんが19日、記者会見して明らかにした。

引用:共同通信

あれからもう35年も立ちます。当時私は受験生でした。その年は阪神大震災もあり、大変な年でした。35年間介護を続けられたお兄さんにも、おなくなりになられた浅川さんにもお疲れさまと言いたい。ご冥福をお祈り申し上げます。

サリンの毒性のメインは全身の神経末端のシナプスに存在するコリンエステラーゼを阻害することであり,その結果アセチルコリンが分解されず神経内に過度に蓄積され,全身の臓器に影響を及ぼすとされています。これだけではわからないと思いますのでかみ砕きます。アセチルコリンは神経からの伝達物質です。このアセチルコリンがオン・オフを伝えています。伝達物質として働いている限り、用事が終われば速やかに分解されてなくなる必要があります。アセチルコリンを分解するのが、コリンエステラーゼです。サリンはコリンエステラーゼを阻害するので、言ってみれば神経からずっとオンの伝達がなされるというわけです。アセチルコリンは副交感神経がメインと言われていますが、運動神経の筋肉との接合部でも働いています。神経での伝達がうまくいかないことで、様々な症状が出現します。有名なのは瞳孔が収縮する縮瞳、脱力、嘔気嘔吐、重症例では呼吸停止、全身筋攣縮などです。

治療ですが、呼吸停止が生じていれば人工呼吸器をつけるなどの蘇生術と解毒剤のPAMがあります。東京オリンピックのテロを想定して対策が組まれています。サリン中毒と同様に同じ症状が出るのが、農薬などに含まれる有機リンを誤飲した有機リン中毒、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)の副作用であるコリン作動性クリーゼなどは一般臨床の現場でも目にすることがあります。有機リン中毒を救急の現場で見ると地下鉄サリン事件を必ず思い出します。あんな悲惨な事件が二度と起きないよう警察・公安の皆さん頑張ってください。

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