「ネモリズマブ」はインターロイキン31(IL-31)を標的にした抗体製剤で、
「デュピクセント」は「IL-4」と「IL-13」を標的にした抗体製剤です。
両者を直接比較した試験はまだないので、
どちらが優れた薬剤かどうかは現段階では説明できません。
試験のデザインもほぼ同じ対象で行われています。
アトピー性皮膚炎の新薬の臨床試験(治験)で中程度から重度の患者のかゆみ改善と安全性が確認されたと、京都大大学院医学研究科の椛島(かばしま)健治教授(皮膚科学)らの研究グループが9日、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の電子版に発表した。今後、薬事承認申請を経て実用化を目指す。
引用:SankeiBiz
「ネモリズマブ」と「デュピクセント」の試験デザインは?
現時点では「デュピクセント」の試験の方が
信頼度の高い結果を有しています。
ここではいう信頼度というのは試験のデザインであり、
国際共同無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間試験と
長ったらしい試験デザインではありますが、
この試験デザインだけでも
非常に信頼度の高い試験であることが分かります。
試験に参加した症例数だけで、
信頼度は言い切れませんが、
プラセボ群・実薬群合わせて740例の症例を
集めた結果を示しています。
「ネモリズマブ」の試験は、
日本人215人を対象に試験を行っています。
ただ日本人を対象にした試験であっても、
対照群をプラセボで行った点は
非常に信頼できる試験結果であると言えます。
「ネモリズマブ」と「デュピクセント」の効果の差は?
基本的には異なる試験を比較して、
薬剤の効果の優劣をつけることはしませんので、
参考までにしてください。
「デュピクセント」の試験結果では、
16週間の投与により症状がほぼ消失した症例は
38.7%となっています。
効果の指標が両試験で異なっていますが、
「ネモリズマブ」は投与開始16週の時点で、
42.8%の症例が症状の改善を認めています。
「ネモリズマブ」と「デュピクセント」の安全性の差は?
抗体製剤を使用する上では安全性・副作用情報は重要です。
ネモリズマブの試験の結果を見る限り
重篤な副作用が頻発しているデータはありません。
143例の投与症例に対して
3例(2%)の重篤な有害事象が生じています。
メニエール病、急性膵炎、アトピー性皮膚炎の増悪です。
プラセボ群では重篤な有害事象は認められていません。
デュピクセントの試験では、
アトピー性皮膚炎の増悪や、
皮膚有棘細胞癌などの重篤な有害事象を認めていますが、
プラセボ群でも同様の頻度で重篤な有害事象が起きています。
両薬剤とも最も頻度の高い有害事象は
注射部位に関係した有害事象でした。
両薬剤とも安全性に関しては
大きな心配はないような印象を持ちます。
ただ実際に販売開始後に明らかになる
副作用も多くありますので、
やはり使用経験が豊富なデュピクセントに一日の長がありますね。
皮膚の痒みというものは、
生活の質(QOL)を大きく損ねます。
そういった意味では、
効果のある薬剤が世に出てくることは
非常に好ましいことだと思います。
デュピクセントは重症気管支喘息にも適応症を持っており、
私も投与経験があります。
重篤な副作用は今のところ経験しておらず、
非常に良い薬であると認識しています。
効果のある良い薬はいくらあってもウェルカムです!!。
アレルギーの薬と言えども
抗体製剤は非常に高価な薬品となっています。
しかし生活の質に大きく関係する疾患に対しては
高価な薬剤であっても使用したいと思うのは
自然な感情だと思います。
いつもベストの治療を受けるためには
やはりお金は必要です。
医療費のために治療を躊躇したくない方は
保険の充実が必須でしょう。
この機会に保険の内容をご確認ください。
お金の相談とともにFPと相談するとよくわかります。
関連記事
コメント