レビー小体型認知症における突然死の原因とは?対処方法は?

認知症
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漫画家でタレントの蛭子能収(72)が、9日放送のテレビ東京「主治医が見つかる診療所2時間スペシャル」(後7・58)にVTR出演し、「レビー小体病とアルツハイマー合併症」による軽度の認知症だと診断された。

引用:スポニチアネックス

蛭子さんがレビー小体型認知症の診断を受けました。私も日常診療の中でレビー小体認知症の患者さんの診察をすることもあります。レビー小体認知症とはどのような疾患なのか?また経過観察で気を付けることは何か?などをまとめました。また疾患の特徴とは言えないかもしれませんが、突然死の印象が強い疾患ではあります。私の印象も含めて説明したいと思います。

1.レビー小体認知症とは?アルツハイマー型認知症とどう違うの?

レビー小体型認知症の原因は、レビー小体という変性した細胞が、脳の大脳皮質や脳幹部に生じ、脳神経細胞が破壊された結果、生じる認知症です。アルツハイマー型認知症が、脳に異常に蓄積したアミロイドβやタウタンパクというたんぱく質により、脳細胞が損傷し、神経伝達物質が減少したりすることで、結果脳の全体の萎縮が生じ、引き起こされると考えられています。症状の違いですが、アルツハイマー型認知症は症状のメインは認知障害となるのに対して、レビー小体認知症はパーキンソン病様症状、うつ症状、幻視、睡眠障害といった精神病疾患症状といった様々な症状が先行することがあります。私の経験ではパーキンソン病の治療中にあっという間に認知症が進みレビー小体認知症だったという症例を経験したことがあります。また精神疾患と診断され、薬物治療を行っていると薬物によりますます症状が悪くなるといった抗精神病薬に対する過敏性が見られるのもレビー小体認知症の特徴です。

2.レビー小体認知症の治療は?

薬物療法はアルツハイマー病と同様に抗認知症薬が中心で、合わせてパーキンソン薬を投与します。認知症が進むと幻視・幻覚といった精神症状も出現しますが、安易な抗精神病薬の処方は増悪の原因になりかねないため、専門医による診療と治療が必要です。またパーキンソン症状の進行に伴い動作に支障をきたすため、運動療法も必要となります。

3.レビー小体認知症の突然死について

老人ホームなどの施設で定期的に診察をし、特に異常を全身状態としては問題を指摘できないレビー小体認知症患者が突然お亡くなりになるケースがあります。もちろん老人ホームでは、沢山の高齢者がいますので、ホームで息を引き取る方は決して珍しくありません。ただレビー小体認知症の方は比較的年齢は若いので、非常に印象に残ります。突然死の原因のほとんどは虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)や虚血性脳疾患(脳梗塞)です。レビー小体認知症の症状の一つに自律神経症状というものが含まれます。自律神経のバランスが崩れると突然の頻脈や低血圧などが生じます。こういった突然の循環状態の変化が突然死と関連しているのでは?と考えています。対処方法は普段から突然の循環動態の変化などが起きていないか?特に不整脈の存在の有無を確認しておくことくらいしかできないです。ただレビー小体認知症の方に限った話ではありませんが、決して診察や検査に協力的な患者さんばかりではないので、むつかしいところではあります。

レビー小体認知症は比較的新しい種類の認知症ではありますが、決して珍しい疾患ではありません。認知症の初期やパーキンソン病の初期の患者さんは神経内科の専門家に一度は診察を受けておいたほうが良いと思います。

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