月経前症候群(PMS)には、女性には良く知られた症状ですが、男性にはまだまだ知られていない症状です。
この機会に男性の皆さんも知っておきましょう。
なぜならば、あなたのパートナーが月経前症候群を持っているかどうかによって、あなたがするべきことが変わってくるからです。
月経前症候群(PMS)とは?
月経前症候群は、月経がはじまる3~10日ほど前から症状が出現し、月経が開始すると改善します。
閉経前の女性の約3/4に月経前には何かしらの不快な症状があると言われており、その症状の程度によっては、日常生活に大きな影響を与えます。
月経前10日から症状が出現する人であれば、月の1/3は不快な症状に悩まされることになり、QOLへの影響は大きいと言えます。
月経前症候群(PMS)の原因は?
女性の性周期は、エストロゲンが多く分泌され、卵巣内の卵胞を成熟させる「卵胞期」と、排卵後の妊娠に備えて黄体機能を維持するプロゲステロンが分泌される「黄体期」にわかられます。
月経前症候群は、黄体期に発症します。
したがってエストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが発症の原因と言われていますが、完全に解明されている訳ではありません。
月経前症候群(PMS)の症状は?
大きく身体症状と精神症状に分けます。
身体症状には
- 下腹部痛
- 頭痛
- 腰痛
- 乳房痛
- 足のむくみ
- 体重増加
- 自律神経失調症状(動悸・悪心・めまい等)
などが挙げられます。
精神症状には
- イライラ感
- 抑うつ
- 不安・緊張感
- 易疲労感
- 不眠
- 無気力
- 判断力の低下
などが挙げられます。
月経前症候群の検査・診断は?
基本的には問診が中心になります。
月経を境に症状がどうなるのか?と言った点を中心に問診を行います。
同時に、身体的な異常をスクリーニングすることになります。
特に子宮や卵巣の異常の有無は確認が必要です。
月経前症候群の治療は?薬は?漢方薬は?
まずは、食生活や日常生活の改善指導(寝不足など)、軽い運動、リラクゼーションなどから治療は始まります。
効果が認められない、差し迫ってQOLへの影響が大きすぎるといった場合は薬物療法が選択されます。
もっともエビデンスのある治療としては、低用量ピルでしょう。
ピルには、エストロゲンとプロゲステロンが含まれており、体内でのエストロゲンとプロゲステロンの産生を抑制します。
両ホルモンをコントロールすることで、ホルモンのバランスを一定にして、月経前症候群を抑制するのです。
精神的に不安定になる方には、抗不安薬や抗うつ剤が処方されることもあります。
漢方薬も良く使用されます。
漢方薬は基本的に、患者さんの症状と体質を考慮して処方します。
一種対症療法のようなイメージです。
したがって月経前症候群には、この漢方!!って処方する先生は、信用できません。
まずは婦人科を受診することをお勧めしています。
婦人科を受診するのが恥ずかしい、なんて方にはオンライン診療サービスもあります。
オンライン診療サービスで適応があると判断されると、診療から低用量ピルの処方までしてくれるサービスもあります。
月経前症候群を男性が理解しておかなければならない理由
当たり前のことですが、男性は生理のつらさは知りません。
私も知りません。
でも、どんな症状が出るかは知ってます。
知っているので、パートナーがつらそうなときには、黙って家事を代わることくらいはできます。
機嫌が悪くても、黙って話を聞いてあげる忍耐力は持てます。
そして、症状はひどい時には婦人科に行くことを提案できます。
女性にとって月経にまつわる辛さ・苦しさを全く理解してくれないパートナーはどうでしょう?
お分かりのことと思います。
月経前症候群は日常生活に大きな影響を与えうる疾患・症候群です。
女性の方は無理をせず、婦人科を受診しましょう。
男性は、女性を労ってあげましょう。
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