シムビコートをはじめとする気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する吸入薬を使用すると必ず吸入後にうがいをするように指導されると思います。なぜでしょう?シムビコートは吸入ステロイド(ICS)と長期作用型β2刺激薬(LABA)と呼ばれる気管支拡張薬の2剤の合剤です。うがいをしなければならない理由はICSにあります。ICSはほとんど副作用はありません。唯一の副作用と言っても良いのが口腔カンジダ症です。
1.シムビコートの副作用であるカンジダ症って何?
カンジダとはカビの1種です。カンジダはほとんどの人の口腔内にいます。健常人は自身の免疫力によりカンジダの増殖を抑え込むことができます。しかしながら免疫力が低下するとカンジダが増殖します。例えばAIDSを発症した人や免疫抑制剤を使用している人など。吸入ステロイドを使用しても全身への影響が非常に微々たるものです。しかしながら吸入により直接口腔内にステロイドが残留すると局所的に免疫力が低下して口腔カンジダ症を発症します。口腔カンジダ症は、口の中の粘膜や下に白い斑点(白苔)が生じることで分かります。
引用:時事メディカルホームページ
2.シムビコートの吸入後のうがいは水でいいの?
うがいは水で大丈夫です。特に抗真菌剤が含まれているうがい薬を使用しなくとも口腔カンジダ症を予防することは可能だとわかっています。大切なのは、忘れないこと。私は外来で患者さんに、歯磨きの前に吸入するように指導しています。吸入し、歯磨きをすれば口腔内の清潔を保つには良い手段だと考えています。
3.シムビコートの吸入で口腔カンジダ症になったら?
口腔カンジダ症になったと思ったらかかりつけ医に相談してください。心配しなくとも抗真菌薬を内服することで改善します。だからと言ってうがいを怠っても良いことにはなりません。不要の治療を受けることは、薬の副作用を経験する可能性を上げます。どんな薬でも少なからず副作用はあります。可能な限り飲まないでよい薬は飲まないで済ますのは大切なことです。
4.シムビコートを外出先で使用し、うがいができない時はどうするの?
そんな時にはお茶かお水を口に含んで飲んでください。吸入ステロイドは胃酸でほとんど失効します。可能であれば多めの水分で飲み込んだほうが良いとは思います。食道に残存すると食道カンジダのリスクも上がるからです。外出先ではちょっと多めの水分を取ることで、口腔カンジダ症を予防することは可能です。
5.シムビコートの吸入後のうがいを忘れた時
大丈夫です。1回や2回忘れてもすぐに口腔カンジダ症が発症するわけではありません。一旦思い出したときにうがいをして、次からは忘れないようにしてください。
吸入やうがいを忘れないコツは決まった時間に吸入することです。そして吸入とうがいをワンセットにする習慣を作ることです。個人的には既に習慣としている歯磨きとワンセットにすることが最も効果的だと思っています。吸入やうがいを忘れる方はぜひ試してみてください。
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