COPDの急性増悪は、予後(余命)を悪化させます。そのため急性増悪を予防することは非常に重要です。急性増悪を発症すると一旦軽快しても、その後の呼吸機能は大きく落ち込んだままとなり、生活の質が大きく低下します。
1.COPDの急性増悪の原因は?
急性増悪の原因で、最も多いのは気道感染です。その割合は約80%と言われています。感染の原因は細菌とウイルスがあります。ただそれぞれが別々に発症するのではなく、ウイルス感染が細菌感染の呼び水になることも決して珍しいことではありません。したがってCOPD患者にとっては感染症の予防は非常に重要なのです。
2.COPDの急性増悪を予防する方法は?
新型コロナウイルス感染の拡大により、手洗い・マスクなどの予防策は一般市民に深く浸透しました。これからもCOPDを含む合併症を有している人は手洗い・マスクは継続していただきたい。また市場にあるワクチンを有効利用することは非常に大切です。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、COPDの急性増悪の予防に効果的であることは既に試験を通して判明しています。ワクチン以外でもCOPDの治療のために処方されている薬剤は、症状の改善とともに急性増悪を予防する効果もあります。例えば、COPD患者は慢性的に痰がでます。去痰剤を使用することで痰を処理しやすくすることは、痰が詰まって閉塞性肺炎を起こすことを予防します。一旦肺炎を生じるとCOPDの急性増悪につながりかねません。
3.COPDの急性増悪予防にコロナワクチンは効果がある?
残念ながらワクチンも出来上がっていないので、効果がるとは断言できません。しかしながら新型コロナウイルスは肺炎を発症させることが分かっています。やはり肺炎を生じると急性増悪につながる恐れが強いと考えます。ただでさえ重度のCOPD患者は高齢者であることが多いので、予防できる疾患は予防しておいた方が良いと考えます。
4.コロナワクチンはいつから接種可能になる?インフルワクチンとの兼ね合いは?
アストラゼネカ社は年内にもワクチンの供給ができる可能性を先日発表しました。
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は、新型コロナウイルスワクチンAZD1222の日本における供給について、日本政府と基本合意書を締結したことをお知らせします。日本政府の要請に応えるべく、アストラゼネカは、薬事承認などを含めた接種環境が整い次第接種が開始できるように、2021年初頭より1億2千万回分のワクチンの供給が可能となる体制を構築します。そのうち3千万回分は、2021年第1四半期に供給できる見通しです。
引用:アストラゼネカ社プレスリリース
また同様にファイザー社も同様に来年6月までに供給できる可能性を示しています。
政府は7月31日、米ファイザーと来年6月末までに新型コロナウイルス感染症ワクチン6000万人分の供給を受けることに基本合意した。ファイザーがワクチンの開発に成功し、承認が得られることが条件。政府が新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発企業と国内供給で基本合意したのは初めてとなる。加藤勝信厚生労働相は、記者団に対し、「今後最終契約に向け、速やかな協議を進めていきたい」と語った。
引用:薬事日報
いずれにせよ、インフルエンザワクチンは10月~11月に接種することをお勧めしていますので、時期が重複することはないと考えます。
COPDの急性増悪を予防することは重要であり、出来ることは積極的に行うべきだと考えます。年末よりコロナワクチンについての具体的な情報が出てくると予想しています。何らかの情報が出ればブログにアップしますが、自分でもアンテナをはっておくことをお勧めします。
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