新型コロナ感染で自宅療養している方から麦門冬湯の処方の依頼を受けることがあります。
麦門冬湯は気管支喘息や慢性気管支炎、肺気腫といった呼吸疾患で処方をすることはよくあります。
現在は吸入薬が優れているため、麦門冬湯の処方の頻度は下がっていますので、久しぶりな処方です。
実際に麦門冬湯って内服してからどの程度で効果が認めるのでしょう?
新型コロナ感染に対しての効果はどうなんでしょう?
こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
今回は「麦門冬湯」についてです。
麦門冬湯ってどんな薬?
麦門冬湯は名前から想像がつくと思いますが、漢方薬です。
主に咳止めとして使用されます。
しかし漢方薬を利用するときは患者の体質、病状を抑える必要があります。
漢方の世界では患者の体質を大きく「虚証」と「実証」に分けます。
分かりやすく言うと、虚証は虚弱体質を指し、実証は屈強なイメージでしょうか。
麦門冬湯は虚証向きの薬剤です。
また虚証の体質に該当する要因に症状が長期間継続しているという点があります。
この長期間は1週間以上くらいが妥当なラインでしょう。
普段健康的な暮らしをしている人が昨日から咳が出るって患者に対しては良い適応とは言えません。
分かりやすく説明すると、「1週間以上咳が止まらなくて、それに伴い体力が低下している患者さん」というのが典型的な症例になります。
麦門冬湯は効果が出るまでどれくらい?
麦門冬湯は頓服薬ではありません。
従って1回内服したら咳が止まるということはありません。
そもそも麦門冬湯は西洋薬における咳止めとは作用機序が全く異なります。
西洋薬における咳止めの中心(コデイン、メジコン等)は、脳の咳中枢に働き鎮静化させます。
麦門冬湯は末梢の気管に潤いを与えることで咳を抑えようとします。
気管に潤いを与えるとなると1週間程度は内服を継続するべきです。
麦門冬湯はコロナ感染に効く?注意点は?
麦門冬湯は上述したように気管に潤いを与えることで咳を抑える薬物です。
従って粘稠痰を伴うような咳には使用はお勧めしていません。
逆に以下のような症状の方には効果が期待できます。
コロナ感染でのどが渇いて痛い。
喉がイガイガするから咳が止まらない。
そもそも粘稠痰を伴う咳が出ている時は、咳止めは使用しません。
どうしても使用するときは去痰剤(カルボシステイン等)を併用します。
そうでないと気管支に痰が詰まることで肺炎が悪化することがあるからです。
咳が止まらないから咳止めという安易な考えで薬は飲まないようお勧めいたします。
痰はないけど、咳が出るって方は一考の価値はあります。
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