こんにちは。
企業勤めの内科医ヒロスケです。
今回は「亜急性甲状腺炎」という疾患についてです。
この疾患の原因とその症状
かかった時のお仕事の対応などについてご説明いたします。
急性・亜急性・慢性って何?
一般的には急性・亜急性・慢性の疾患概念は、症状とその期間を指します。
急性は、一過性の疾患(日単位)を指します。
例えば急性胃炎や急性気管支炎などですね。
慢性とは、長期(年単位)にわたる疾患で中々治らない疾患を指します。
例えば慢性胃炎、慢性肝炎などです。
亜急性という期間は週~月単位を指します。
疾患の進行も症状も急性と慢性の間をたどります。
甲状腺炎に関しては急性甲状腺炎という疾患はありません。
亜急性甲状腺炎と慢性甲状腺炎です。
亜急性甲状腺炎の原因は?
亜急性甲状腺炎の原因はウイルス感染です。
ウイルスに決まった種類はなく一般的な風邪のウイルスが原因となりえます。
イタリアでは新型コロナウイルス感染が原因の亜急性甲状腺炎も報告されてます。
一般的な風邪ウイルスが原因となっている限り予防には規則正しい生活と十分な休養と栄養、そして過度のストレスを無くす、というのが正しい予防法でしょう。
亜急性甲状腺炎の症状は?
初期症状は感冒症状のみです。
のどの痛み、鼻水、鼻づまり
といった症状から始まります。
この段階では亜急性甲状腺炎は発症していない
と、考えられます。
亜急性甲状腺炎を疑うにはまずは甲状腺そのものの痛みです。
甲状腺は喉ぼとけのすぐ下の臓器です。
亜急性甲状腺炎はこの部位にしこりと圧痛を感じます。
亜急性甲状腺炎には特徴的な症状があります。
それは甲状腺機能亢進症の症状です。
- 動悸
- 発汗
- 体重減少
の三つです。
これらは甲状腺ホルモンが過剰に分泌したため出現した症状です。
亜急性甲状腺炎で甲状腺ホルモンが過剰に分泌するワケ
ウイルス感染により甲状腺の細胞が破壊されます。
破壊された甲状腺細胞から蓄えられていたホルモンが漏出します。
細胞破壊により漏出するホルモンだから症状は一時的です。
ただ一時的と言えども亜急性ですから週単位の症状が継続する場合があります。
過剰に甲状腺ホルモンが漏出した後には細胞が破壊されたためホルモンの分泌が止まります。
つまり甲状腺機能低下症の状態にもなります。
甲状腺機能低下症の症状は甲状腺機能亢進症よりは軽度ですが、全身倦怠感や足のむくみなどが出ることあります。
亜急性甲状腺炎の治療は
症状が軽度の時は経過観察のみです。
特に薬はなくとも自然軽快します。
しかし、上述のホルモン異常がある場合にはステロイド剤による治療を行います。
ステロイド剤を使用するときの注意点は軽快したからと言ってすぐに止めないこと。
軽快後も徐々に薬は減らさないと再発する可能性があります。
くれぐれも自己判断で薬を止めないようにしてください。
亜急性甲状腺炎になったら仕事はどうする?
症状次第です。
発熱があるうちは出社を控えるのは言うまでもありませんが、動悸があるときなどは安静にしておかないと不整脈がひどくなる可能性もあります。
ステロイドの使用で比較的早期に症状は緩和しますので、仕事については主治医に相談するのが最も良い手でしょう。
新型コロナウイルス感染でも亜急性甲状腺炎は生じえます。
発熱や倦怠感などの症状に加えて咽頭痛や動悸、発汗などの症状があるときには亜急性甲状腺炎を疑う必要があります。
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