ロシアの野党指導者が、神経剤ノビチョクによって毒殺されたドイツ政府が発表しました。このノビチョクはどのような作用メカニズム何でしょうか?症状や対象方法はあるのでしょうか?
ドイツ政府は2日、同国で入院中のロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏について、化学神経剤「ノビチョク」と同じグループの毒物が使用された証拠を確認したと明らかにした。
引用:CNN
1.ノビチョクってどんな薬?
ノビチョクは有機リン酸アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に属する薬剤です。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のというと、同様の作用を引きおこすものに「サリン」があります。サリンについては以前記事にしたので、以下ご参照ください。
2.ノビチョクの治療方法ってあるの?
サリン中毒の時には、PAMという薬剤が使用されました。ノビチョクもPAMが効くのでしょうか?答えはNoです。PAMで対処するには、ノビチョクは毒性が強すぎます。サリンと同様に使用される神経毒ガスのVXガスの8倍の毒性を有しているといいます。自然経過で人工呼吸器などの生命維持装置で時間を稼ぐしかないようですが、それでも結局はお亡くなりになる可能性が非常に高いようです。
ロシアの科学者によると、この薬剤は不可逆な神経損傷を引き起こし、犠牲者に永久的な障害をもたらす可能性がある。これら人間に対する効果は1987年5月、モスクワの研究所で開発に携わっていた科学者の一人であるアンドレイ・ジェレジニャコフが残留していたノビチョクに偶然暴露したことで証明された。ジェレジニャコフは意識回復まで10日かかって歩行能力を失い、3ヶ月後レニングラード(現サンクトペテルブルク)の秘密の診療所で治療を受けた。腕に慢性的な衰弱、肝硬変を引き起こす毒性肝炎、癲癇、重度のうつ症状または読書や集中力の欠如が起きて、重度の身体障害により働くことができなくなった。ジェレジニャコフは回復することなく、5年後の1992年7月に死亡した。
引用:Wikipedia
つまり使用された人間は必ず死に追いやる極めて非人道的な薬物であると言えます。
3.ノビチョクを使用されたと疑う血液検査は?
ノビチョク自体を血液検査で検知することは、通常診療では不可能ですが、有機リン中毒を疑わせる血液検査データはあります。そのものずばり「コリンエステラーゼ」です。有機リン中毒の患者さんはこのコリンエステラーゼが0、もしくはほぼ0になっています。通常の診療ではコリンエステラーゼが0になることはありません。
今回の事件は改めてロシアという国が恐ろしい国であることを再認識させられました。そんな国と北方領土の解決のために今後もやり取りしなくてはなりません。我々は前線で働かれている外務省の職員に、お気を付けてと告げることしかできません。
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